映画評「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2017年アメリカ映画 監督ソフィア・コッポラ
ネタバレあり
ホームページ(この4月にプロバイダーがサーヴィスを止めた。その前からアップロードができず更新は中断していた)を持っていた時リメイク映画リストを懸命に作っていた。
その際にドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」(1971年)のリメイクの存在を知った。何故か観た気になっていたが、全くの初見。多分その間に「白い肌の異常な夜」を再鑑賞したからだろう。原作はトーマス・カリナンの小説。
お話自体は大体同じで、時代は南北戦争の3年目。
イーストウッドに相当する北軍伍長コリン・ファレルが脚を銃撃されて動けないところを、南部にある小学園の生徒に救われ、ニコール・キッドマンを園長とする古代ギリシャ風建築の学園の住人になる。
園長の手当てよろしく彼は回復していくが、その間に園長や教師キルステン・ダンストとの間で色目を使い合い、生徒の中でも一番の年長エル・ファニングは伍長に対し多大な性的な興味を覚えている様子。
シーゲル監督作が男性目線で作られ、女性監督ソフィア・コッポラの本作は女性目線で作られているという世評通り、こちらの女性たちは色恋の意識において嫉妬合戦の様相を殆ど呈しない。
1時間を過ぎたところで漸くニコールとの現場を見たキルステンが伍長を突き落とすという行動を取るのは嫉妬がベースにあるものの、それがニコールではなく彼に対する恨みとして爆発した結果伍長は悲劇に見舞われる。
相談の現場にいなかったこともあり、そのキルステンだけが園長の計画を知らない。後で知らせることもできたのにしなかったのは、園長は彼女が真に彼に傾倒していると思ったからだろう。
ソフィア・コッポラは1時間までやはり即実的な描写に推移するが、1時間を過ぎて事件が起きた後、園長の指令で生徒による布を使った外への連絡に伍長が気付く場面で、ロー・ポジションのカメラによる移動撮影を用いる。明らかに恐怖醸成の為のカメラの使い方であり、珍しく演出らしい演出をしていると感じた。
スリラーとしては断然シーゲル版に分がある一方、スリラー色を薄めた結果、本作は女の園に男一人が入った時に三種の年齢層の女性たちの化学反応を描くことになり、変則的な女性映画として見れば、それはそれで面白い。
beguiled には色々意味があるが、ここでは ”魅せられて” といった意味だろう。
2017年アメリカ映画 監督ソフィア・コッポラ
ネタバレあり
ホームページ(この4月にプロバイダーがサーヴィスを止めた。その前からアップロードができず更新は中断していた)を持っていた時リメイク映画リストを懸命に作っていた。
その際にドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」(1971年)のリメイクの存在を知った。何故か観た気になっていたが、全くの初見。多分その間に「白い肌の異常な夜」を再鑑賞したからだろう。原作はトーマス・カリナンの小説。
お話自体は大体同じで、時代は南北戦争の3年目。
イーストウッドに相当する北軍伍長コリン・ファレルが脚を銃撃されて動けないところを、南部にある小学園の生徒に救われ、ニコール・キッドマンを園長とする古代ギリシャ風建築の学園の住人になる。
園長の手当てよろしく彼は回復していくが、その間に園長や教師キルステン・ダンストとの間で色目を使い合い、生徒の中でも一番の年長エル・ファニングは伍長に対し多大な性的な興味を覚えている様子。
シーゲル監督作が男性目線で作られ、女性監督ソフィア・コッポラの本作は女性目線で作られているという世評通り、こちらの女性たちは色恋の意識において嫉妬合戦の様相を殆ど呈しない。
1時間を過ぎたところで漸くニコールとの現場を見たキルステンが伍長を突き落とすという行動を取るのは嫉妬がベースにあるものの、それがニコールではなく彼に対する恨みとして爆発した結果伍長は悲劇に見舞われる。
相談の現場にいなかったこともあり、そのキルステンだけが園長の計画を知らない。後で知らせることもできたのにしなかったのは、園長は彼女が真に彼に傾倒していると思ったからだろう。
ソフィア・コッポラは1時間までやはり即実的な描写に推移するが、1時間を過ぎて事件が起きた後、園長の指令で生徒による布を使った外への連絡に伍長が気付く場面で、ロー・ポジションのカメラによる移動撮影を用いる。明らかに恐怖醸成の為のカメラの使い方であり、珍しく演出らしい演出をしていると感じた。
スリラーとしては断然シーゲル版に分がある一方、スリラー色を薄めた結果、本作は女の園に男一人が入った時に三種の年齢層の女性たちの化学反応を描くことになり、変則的な女性映画として見れば、それはそれで面白い。
beguiled には色々意味があるが、ここでは ”魅せられて” といった意味だろう。
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