映画評「ウルフウォーカー」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2020年アイルランド=ベルギー=フランス=ルクセンブルク合作映画 監督トム・ムーア、ロス・スチュワート
ネタバレあり
ケルト伝説をアニメ映画化するのをライフワークとしているかのようなトム・ムーア監督による、三部作の第3作。三部作というのが正確な情報であれば最終作となる。ロス・スチュワートとの共同監督との由。
護国卿が狼狩りに乗り出した近世のアイルランド。イングランドから狩猟家ビル(声:ショーン・ビーン)が娘ロビン(声:オナー・ニーフシー)を連れてやって来る。
冒険心いっぱいのロビンは入り込んだ森の中で、活発な少女メーヴ(声:エヴァ・ウィッテカー)と知り合って親友になるが、メーヴは実は寝ている間は狼の姿で歩き回ることができるウルフウォーカーで、狼の姿のまま行方をくらました母親モル(声:マリア・ドイル・ケネディ)を探している。
護国卿(声:サイモン・マクバーニー)の命令で料理場で働かされる羽目になったロビンは屋敷内に捕らえられているモルを発見するが、その力ではどうにもならない。
護国卿がモルを町に出して処分しようとすると、そこへ現れたメーヴが阻止しようと激しく抵抗する。以前メーヴの力で負傷を治癒した結果ウルフウォーカーになったロビンも、父親を振り切って森を焼いて狼を一網打尽にしようという卿に逆らうも力が及ばない。
ビルは、こうした混乱のうちに逃げ出すことに成功したモルを撃ち抜いて重体に陥らせる一方、卿により娘の命が危機に瀕すると、その魂が狼に変じ、卿に襲い掛かる。後の展開は推して知るべし。
“人間は自然の一部に過ぎない” という自身の人間観/世界観をずっと作品に反映させてきた宮崎駿に通ずるものがあるが、展開の行間に宮崎作品ほど深淵な哲学(世界観)を見出せない。最新作「君たちはどう生きるか」を別にすると解りやすい物語に見せて実は解る人しか解らない宮崎駿と違い、誰が見ても解りやすいように図式化されている。
作者が意識しているかどうかはともかく、こういう時代であるから、どうしても分断する社会と独裁者的な為政者による移民差別を想起してしまう。しかし、怒りが人を狼にならしめるといったところは哲学的かもしれない。
物語の顛末は狼を従える少女で思い出させる「もののけ姫」(1997年)のほうが僕の趣味に合うところが多い反面、前2作と同様ケルト伝説故の野趣とともに、スタジオジブリにはないイラストもしくはグラフィック的な画面は寧ろ大人向きで魅力絶大、年寄りの僕はこの辺りにいつも感心させられる。
同時に、一般的なアニメのタッチで描かれているキャラクターが時々デッサン的に描かれるのは、高畑勲監督「かぐや姫の物語」(2013年)のエコーなのかもしれない。
ただ、ケルト的な音楽を堪能しようとしていた僕には、この作品の背景音楽は量的に少し足りず不満。不純な理由で評価を下げてしまうのは何なのですが。
幕切れは、クラシックな西部劇のようでしたね。
2020年アイルランド=ベルギー=フランス=ルクセンブルク合作映画 監督トム・ムーア、ロス・スチュワート
ネタバレあり
ケルト伝説をアニメ映画化するのをライフワークとしているかのようなトム・ムーア監督による、三部作の第3作。三部作というのが正確な情報であれば最終作となる。ロス・スチュワートとの共同監督との由。
護国卿が狼狩りに乗り出した近世のアイルランド。イングランドから狩猟家ビル(声:ショーン・ビーン)が娘ロビン(声:オナー・ニーフシー)を連れてやって来る。
冒険心いっぱいのロビンは入り込んだ森の中で、活発な少女メーヴ(声:エヴァ・ウィッテカー)と知り合って親友になるが、メーヴは実は寝ている間は狼の姿で歩き回ることができるウルフウォーカーで、狼の姿のまま行方をくらました母親モル(声:マリア・ドイル・ケネディ)を探している。
護国卿(声:サイモン・マクバーニー)の命令で料理場で働かされる羽目になったロビンは屋敷内に捕らえられているモルを発見するが、その力ではどうにもならない。
護国卿がモルを町に出して処分しようとすると、そこへ現れたメーヴが阻止しようと激しく抵抗する。以前メーヴの力で負傷を治癒した結果ウルフウォーカーになったロビンも、父親を振り切って森を焼いて狼を一網打尽にしようという卿に逆らうも力が及ばない。
ビルは、こうした混乱のうちに逃げ出すことに成功したモルを撃ち抜いて重体に陥らせる一方、卿により娘の命が危機に瀕すると、その魂が狼に変じ、卿に襲い掛かる。後の展開は推して知るべし。
“人間は自然の一部に過ぎない” という自身の人間観/世界観をずっと作品に反映させてきた宮崎駿に通ずるものがあるが、展開の行間に宮崎作品ほど深淵な哲学(世界観)を見出せない。最新作「君たちはどう生きるか」を別にすると解りやすい物語に見せて実は解る人しか解らない宮崎駿と違い、誰が見ても解りやすいように図式化されている。
作者が意識しているかどうかはともかく、こういう時代であるから、どうしても分断する社会と独裁者的な為政者による移民差別を想起してしまう。しかし、怒りが人を狼にならしめるといったところは哲学的かもしれない。
物語の顛末は狼を従える少女で思い出させる「もののけ姫」(1997年)のほうが僕の趣味に合うところが多い反面、前2作と同様ケルト伝説故の野趣とともに、スタジオジブリにはないイラストもしくはグラフィック的な画面は寧ろ大人向きで魅力絶大、年寄りの僕はこの辺りにいつも感心させられる。
同時に、一般的なアニメのタッチで描かれているキャラクターが時々デッサン的に描かれるのは、高畑勲監督「かぐや姫の物語」(2013年)のエコーなのかもしれない。
ただ、ケルト的な音楽を堪能しようとしていた僕には、この作品の背景音楽は量的に少し足りず不満。不純な理由で評価を下げてしまうのは何なのですが。
幕切れは、クラシックな西部劇のようでしたね。
この記事へのコメント
ケルト三部作はどれも画面が魅力的で、本作では特に、メーヴとロビンが森を駆け回る場面が大変美しかったです。
個人的には8点を付けたいくらい気に入りました。
弱点はやはりオカピーさんも仰る通り、本作の引用元である宮崎駿作品に比べると、類型的に見える所でしょうか。
今までで一番ジブリに寄せてきただけに、余計にそう感じてしまうかもしれませんね。
個人的には8点を付けたいくらい気に入りました。
それに値するでしょう。
僕は、ケルト的な音楽を楽しみにしていたので、余りなかったのが残念だったというのも結構ありましたね^^
すみませんねえ。
>本作の引用元である宮崎駿作品に比べると、類型的に見える所でしょうか。
前の2作より解りやすすぎるのが却って不満でした。
子供向けは素直なのが一番と言っている持論と少し矛盾するのですが。尤も、アニメだからと言って子供向けとは限りませんか^^
本日Apple TVを解約しようとしたら、1か月延長で6月3日をもって自動更新はしないというオプションを受け入れるしかありませんでした。
ということは、900円の出費となるのかなあ。僅かですから、問題はないですけど。