映画評「2度目のはなればなれ」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2023年イギリス=フランス=スウェーデン合作映画 監督オリヴァー・パーカー
ネタバレあり
「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」のコメント欄で、似ている作品ということで紹介に与った。
老夫婦の夫が突然家を出るというところやマスコミが騒ぎ出すというところは全く似ている。次のような話である。
結婚して70年近く経つ老妻グレンダ・ジャクスンと老人ホームに暮らす退役軍人マイケル・ケインが、ノルマンディー上陸作戦70年を記念してフランスで行われるセレモニーへの集団参加予約を忘れ、ある時黙って施設を抜け出し、世間を騒がせるものの、やがてこの脱走行為がマスメディアに知られて英雄視されてしまう。
しかるに、老人は70年前の出征時の苦い記憶に苦しめられ、真の目的はフランスの集団墓地に自分の指令により戦死した戦友を見舞うことだったのである。
これを無事果たして舞い戻った彼は、戦時中から始まる妻との人生に想いを馳せ、互いの愛情を再確認する。
というお話で、実話である旨の説明はなかったものの、最後の字幕を信じれば実話ものと考えられる。
老夫婦の愛情関係を描く作品としては、幕切れで夫婦が揃って海を眺めながら、妻が “今度は一緒に行く” と言う言葉にじーんとさせられる。勿論ある程度勘の働く方なら解るように、これは “ほぼ一緒に死にますからね” の意味である。
結局(心臓を患っていた妻より先に)退役軍人は亡くなり、妻は8日後に死んだという字幕が追いかけるように表示され、膝を叩くことになる。
反戦映画の要素もかなり強く、この辺りは「ハロルド・フライ」とは全く違う様相を示し、とりわけそれを象徴するのが、70年を記念してセレモニー参加と別にやって来たドイツ人に対する老人の態度であり、それにきちんと敬礼をもって応えるドイツ人の態度である。どちらも戦争の犠牲者であるという思いを共有しているから生まれる行動であり、僕は彼らの態度に尊敬の思いを抱く。
オスカー・ワイルドの戯曲を映画化した「理想の結婚」でなかなか楽しませてくれたオリヴァー・パーカーとしては久しぶりの快打と言うべし。
敬礼と言えば、この間イーロン・マスクのナチス式敬礼を姉が話題にした。姉は擁護派だが、まずナチス式敬礼そのものを知らないことから起きた誤解である。アバウトに言うと、胸に触れてから腕を45度以下の角度で腕を挙げ、指を揃えて掌を下側にするのがこの敬礼だ。動画を“切り取らずに”見れば、彼が確信犯的にやったことは明らかである。一回ならともかく二回もやっている。左派が動画を切り取ってマスクを悪く言ったとして擁護していたが、寧ろ逆で、切り取ったほうが確信犯性が曖昧になる。民主党の要人もやっているというのも反民主党的立場の嘘で、彼らは胸に手を当ててから腕を挙げていないし、角度は45度を超え、指もきちんとは揃えていない。画像を見れば歴然である。アメリカでは手を挙げるだけなら問題にならない。腕は高く上げれば上げるほどナチス式敬礼から遠のく。紛らわしいものをも遠ざけるドイツやオーストリアが過剰なのである。あれほどうるさいユダヤの名誉毀損防止同盟が擁護したのは、自分たちの味方であるトランプ大統領側だから。同じことを民主党政権でやったら、大騒ぎしただろう。
2023年イギリス=フランス=スウェーデン合作映画 監督オリヴァー・パーカー
ネタバレあり
「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」のコメント欄で、似ている作品ということで紹介に与った。
老夫婦の夫が突然家を出るというところやマスコミが騒ぎ出すというところは全く似ている。次のような話である。
結婚して70年近く経つ老妻グレンダ・ジャクスンと老人ホームに暮らす退役軍人マイケル・ケインが、ノルマンディー上陸作戦70年を記念してフランスで行われるセレモニーへの集団参加予約を忘れ、ある時黙って施設を抜け出し、世間を騒がせるものの、やがてこの脱走行為がマスメディアに知られて英雄視されてしまう。
しかるに、老人は70年前の出征時の苦い記憶に苦しめられ、真の目的はフランスの集団墓地に自分の指令により戦死した戦友を見舞うことだったのである。
これを無事果たして舞い戻った彼は、戦時中から始まる妻との人生に想いを馳せ、互いの愛情を再確認する。
というお話で、実話である旨の説明はなかったものの、最後の字幕を信じれば実話ものと考えられる。
老夫婦の愛情関係を描く作品としては、幕切れで夫婦が揃って海を眺めながら、妻が “今度は一緒に行く” と言う言葉にじーんとさせられる。勿論ある程度勘の働く方なら解るように、これは “ほぼ一緒に死にますからね” の意味である。
結局(心臓を患っていた妻より先に)退役軍人は亡くなり、妻は8日後に死んだという字幕が追いかけるように表示され、膝を叩くことになる。
反戦映画の要素もかなり強く、この辺りは「ハロルド・フライ」とは全く違う様相を示し、とりわけそれを象徴するのが、70年を記念してセレモニー参加と別にやって来たドイツ人に対する老人の態度であり、それにきちんと敬礼をもって応えるドイツ人の態度である。どちらも戦争の犠牲者であるという思いを共有しているから生まれる行動であり、僕は彼らの態度に尊敬の思いを抱く。
オスカー・ワイルドの戯曲を映画化した「理想の結婚」でなかなか楽しませてくれたオリヴァー・パーカーとしては久しぶりの快打と言うべし。
敬礼と言えば、この間イーロン・マスクのナチス式敬礼を姉が話題にした。姉は擁護派だが、まずナチス式敬礼そのものを知らないことから起きた誤解である。アバウトに言うと、胸に触れてから腕を45度以下の角度で腕を挙げ、指を揃えて掌を下側にするのがこの敬礼だ。動画を“切り取らずに”見れば、彼が確信犯的にやったことは明らかである。一回ならともかく二回もやっている。左派が動画を切り取ってマスクを悪く言ったとして擁護していたが、寧ろ逆で、切り取ったほうが確信犯性が曖昧になる。民主党の要人もやっているというのも反民主党的立場の嘘で、彼らは胸に手を当ててから腕を挙げていないし、角度は45度を超え、指もきちんとは揃えていない。画像を見れば歴然である。アメリカでは手を挙げるだけなら問題にならない。腕は高く上げれば上げるほどナチス式敬礼から遠のく。紛らわしいものをも遠ざけるドイツやオーストリアが過剰なのである。あれほどうるさいユダヤの名誉毀損防止同盟が擁護したのは、自分たちの味方であるトランプ大統領側だから。同じことを民主党政権でやったら、大騒ぎしただろう。
この記事へのコメント
>反戦映画の要素もかなり強く
>僕は彼らの態度に尊敬の思いを抱く。
旧ドイツ兵との場面があるのと無いのでは作品の格が違ったでしょうね。
そして現地で出逢った退役軍人と墓参りに行った時のマイケル・ケインの一言も当たり前のことばではありますが重いものがありました。
ラスト近く、グレンダ・ジャクソンが戦後から今までを振り返って言う台詞、
”してきたのはつまらない些細なことばかり。でも私達はそれを立派にやり遂げた”
(大意)
グレンダ・ジャクソンが言うとものすごい説得力があって、ただ映画を観ているだけの私にも言ってくれている様な錯覚を覚えて胸がいっぱいになりました。
グレンダ・ジャクソンは映画の完成試写を観ることなく亡くなったようです。
「帰らない日曜日」が最後かと思っていたらこんな素晴らしい作品を残してくれました。
マイケル・ケインも引退作品になってしまいましたね。
私にとっては永遠に憎めない女たらしアルフィー…
>旧ドイツ兵との場面があるのと無いのでは作品の格が違ったでしょうね。
個人史と歴史とが併存して一味生み出し、実に良かったですねえ。
>”してきたのはつまらない些細なことばかり。でも私達はそれを立派にやり遂げた”
>ただ映画を観ているだけの私にも言ってくれている様な錯覚を覚えて胸がいっぱいになりました。
これはちゃんと憶えています。
素敵なセリフでしたよねえ。こんなセリフの言える夫婦になりたいものです。
>グレンダ・ジャクソンは映画の完成試写を観ることなく亡くなったようです。
>「帰らない日曜日」が最後かと思っていたらこんな素晴らしい作品を残してくれました。
>マイケル・ケインも引退作品になってしまいましたね。
>私にとっては永遠に憎めない女たらしアルフィー…
何だかじーんとしてしまいます。
英国映画もちょっと変な風になっていますが、こういう味のある映画を求めるなら、今、英国映画が一番でしょう。