映画評「アンデッド 愛しき者の不在」
☆☆★(5点/10点満点中)
2024年ノルウェー=スウェーデン=デンマーク=ギリシャ合作映画 監督テア・ヴィステンダール
ネタバレあり
フィンランド以外の北欧三国+ギリシャの合作映画となっているが、監督テア・ヴィステンダールがノルウェー人であり、話されている言葉がノルウェー語だけなので、実質的にノルウェー映画。
原作者が「ぼくのエリ 200歳の少女」のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストなので、静かな映画が予想される。
アンデッドというタイトルではあるものの、WOWOWのパンフレットの記述から単に何らかの理由で蘇生した人をめぐるお話かと思ったが、アンデッド=ゾンビのお話で、多少がっかり。肉体接触べたべたの同性愛(異性愛でも余り変わらない)を描く映画とゾンビ映画とお下劣コメディーは大の苦手なのだ。
しかるに、リンドクヴィストらしくホラー・テイストは抑え込まれているし、積極的に人間を襲うアンデッドが出て来るのは映画の終盤のみであり、それも実際に襲う場面が殆どないのは良い。
三つのエピソードが並行して進むセミ・オムニバス形式。
一つは、老人(ビヨーン・スンクェスト)が死んだばかりの孫息子を掘り起こすと、孫息子は目を開ける。一つ、交通事故で死んだはずの妻が静かに蘇生して夫(アンデルシュ・ダニエルセン・リーダー)と子供たちが当惑する。もう一つは、老レズビアン(ベンテ・ボアシュム)が棺に入れて見送ったはずのパートナーとの再会に喜ぶものの、相手は話もしない。
これらが並列して進み、作者側の考えが解らない序盤のうちはこれがどう結び付いていくのか待機するしかないのだが、実際には彼らが積極的に交わることはない。しかし、蘇生した者たちは喋りもしないうちに狂暴化していくという共通点があり、これが発展するとゾンビ地獄が待っているという流れである。
但し、少年の母親(レナーテ・レインスヴィ)が意を決して処理する幕切れを見ると、この段階では始末するのは簡単そう。周囲が異変にいつ気付くかにかかっている感じだ。
序盤に停電があり、それが何かを引き起こしたかと思わせもするが、展開を見るうちに、停電と同じ原因で死者が甦ったと想像されていくことになる。序盤こそちょっとじりじりさせられるが、そう難しくも退屈でもない。
昨日兄が肺炎による高熱で緊急入院でバタバタ。兄嫁がコロナにかかっていたので、こちらが緊急登板。やっと帰ってきて、約束通りに東京在住の旧友に電話を掛けたら、 初期の癌を患っていると報告を受けてビックリ。 “どう治療していくか決めるまではなかなか会えんなあ” と言われた。 現実世界では、一度あの世に行ったら甦りはしない。二人には頑張ってもらうしかない。
2024年ノルウェー=スウェーデン=デンマーク=ギリシャ合作映画 監督テア・ヴィステンダール
ネタバレあり
フィンランド以外の北欧三国+ギリシャの合作映画となっているが、監督テア・ヴィステンダールがノルウェー人であり、話されている言葉がノルウェー語だけなので、実質的にノルウェー映画。
原作者が「ぼくのエリ 200歳の少女」のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストなので、静かな映画が予想される。
アンデッドというタイトルではあるものの、WOWOWのパンフレットの記述から単に何らかの理由で蘇生した人をめぐるお話かと思ったが、アンデッド=ゾンビのお話で、多少がっかり。肉体接触べたべたの同性愛(異性愛でも余り変わらない)を描く映画とゾンビ映画とお下劣コメディーは大の苦手なのだ。
しかるに、リンドクヴィストらしくホラー・テイストは抑え込まれているし、積極的に人間を襲うアンデッドが出て来るのは映画の終盤のみであり、それも実際に襲う場面が殆どないのは良い。
三つのエピソードが並行して進むセミ・オムニバス形式。
一つは、老人(ビヨーン・スンクェスト)が死んだばかりの孫息子を掘り起こすと、孫息子は目を開ける。一つ、交通事故で死んだはずの妻が静かに蘇生して夫(アンデルシュ・ダニエルセン・リーダー)と子供たちが当惑する。もう一つは、老レズビアン(ベンテ・ボアシュム)が棺に入れて見送ったはずのパートナーとの再会に喜ぶものの、相手は話もしない。
これらが並列して進み、作者側の考えが解らない序盤のうちはこれがどう結び付いていくのか待機するしかないのだが、実際には彼らが積極的に交わることはない。しかし、蘇生した者たちは喋りもしないうちに狂暴化していくという共通点があり、これが発展するとゾンビ地獄が待っているという流れである。
但し、少年の母親(レナーテ・レインスヴィ)が意を決して処理する幕切れを見ると、この段階では始末するのは簡単そう。周囲が異変にいつ気付くかにかかっている感じだ。
序盤に停電があり、それが何かを引き起こしたかと思わせもするが、展開を見るうちに、停電と同じ原因で死者が甦ったと想像されていくことになる。序盤こそちょっとじりじりさせられるが、そう難しくも退屈でもない。
昨日兄が肺炎による高熱で緊急入院でバタバタ。兄嫁がコロナにかかっていたので、こちらが緊急登板。やっと帰ってきて、約束通りに東京在住の旧友に電話を掛けたら、 初期の癌を患っていると報告を受けてビックリ。 “どう治療していくか決めるまではなかなか会えんなあ” と言われた。 現実世界では、一度あの世に行ったら甦りはしない。二人には頑張ってもらうしかない。
この記事へのコメント
>原作者が「ぼくのエリ 200歳の少女」のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
これってS・キングの「ペットセメタリー」とほぼ同じじゃないか(あえてパクリなどとは言いませんが) と推察しましたがいかがでしょうか?
この 映画は未見ですからどの程度似ているかは分かりませんが。
そこで本作の公式HPを覗いてみると原作は2005年に出版され、「キングの全盛期を彷彿とさせる」と評されたとありました。
“彷彿とさせる” 上品な言い回しですね。^_^
ちなみに「ペットセメタリー」は昔に本は読みましたが、あまりにも怖すぎたので映画は観ていません。 私はこう見えて?超怖がりなのです。
怖いですが根底に切実な愛があるので読んで良かったとは思います。
村上春樹の「国境の南、太陽の西」のラストが「ペットセメタリー」のラストを確信犯的に彷彿とさせていました。^_^
このタイトル「国境の南…」は当時から気になっていてビリーホリデイも歌っていた“ East of the sun West of the moon “ からきているのかなぁと勝手に思ったりしていましたが、今調べてみたら春樹作品との関連はわかりませんでしたが East of the sun… はノルウェーの民話のタイトルでした。
おかしなところでノルウェーにつながりましたね。
思い出しました。 国境の南 South of the border
ナット キング コール が歌ってました!
シナトラも歌ってますが春樹さんは多分ナットキングコールがお好きでしょう。
>S・キングの「ペットセメタリー」とほぼ同じじゃないか(あえてパクリなどとは言いませんが) と推察しましたがいかがでしょうか?
>この 映画は未見ですからどの程度似ているかは分かりませんが。
着想的に似ているかもしれませんが、少なくとも甦った三人のうち少年は何も起こさないまま終わります。
>“彷彿とさせる” 上品な言い回しですね。^_^
ものは言いよう、というやつですね。
>怖いですが根底に切実な愛がある
これは真に共通していると思います。
>村上春樹の「国境の南、太陽の西」のラストが「ペットセメタリー」のラストを確信犯的に彷彿とさせていました。^_^
スティーヴン・キングは一つも読んでいないんですよねえ。
読んでもいないくせに、キングは案外映画化に向いていないなどと断言してしまったこともありますが^^;
>“ East of the sun West of the moon “
>South of the border
音楽好きの村上春樹のことですから、両方の作品から取ったのかもしれませんね。
向いていないというよりキングの小説中の一番大事な部分、上手く言えなくてもどかしいのですがホラー現象の底にある人間? そこに至る人間を映画では上手く描けないんじゃないですかね。
でも何故だか映画化したがりますね。表面をなぞってもそれなりには面白くなるからでしょうか。
6、7年前に読んだ「11/22/63」以来ご無沙汰していますが、「ビリーサマーズ」はそのうち読もうと思っています。
ちなみに上記以外で面白かったので記憶に残っているのは
キャリー、シャイニング、グリーンマイル、クージョ、呪われた町、ぐらいでしょうか。 ご参考までに ^_^
映画よりは断然面白い事は保証いたします。
>そこに至る人間を映画では上手く描けないんじゃないですかね。
そういうところは確かにありますね。
>表面をなぞってもそれなりには面白くなるからでしょうか。
それは確かなのですが、その部分でも僕は不満があったように記憶しています。
>キャリー、シャイニング、グリーンマイル、クージョ、呪われた町、ぐらいでしょうか。
年内に一作は読もうと思います。
このうち、映画版は「クジョー」で微妙に違う邦題でしたね。ローバジェット映画ですが、案外面白かったです。