映画評「言えない秘密」(2007年版)

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年台湾映画 監督ジェイ・チョウ
重要なネタバレあり。未鑑賞で鑑賞予定のある方はご注意を。

台湾・韓国・中国・日本の間でリメイクをし合う時代で、世界のどこでもクリエイティヴな脚本家はいないのだなあと呆れるところがあるものの、結果的に面白ければそれでも良い。後から観た作品がかなりの確率で面白味を感じられないことになるが、改変ぶりにお国柄が伺われることがあって楽しめることある。

本作は、昨年日本でリメイクされた台湾製オリジナルの青春映画で、「1秒先の彼女」(2020年台湾)「1秒先の彼」(2023年日本)という組合せを思い起こさせる。

父親アンソニー・ウォンの勤める音楽学校に転校してきたジェイ・チョウ君が、壊されることが決まっている旧校舎でピアノを弾いていた美少女グイ・ルンメイと出会い、昵懇になっていくが、ある時旧校舎に呼び出した彼女の代わりに別の同級美人アリス・ツォンにキスされ、それを見たルンメイは学校に現れなくなってしまう。
 が、何故か彼女と写真に写る父親の説明からその秘密に気付き、既に取り潰しが始まった旧校舎でピアノを弾き始める。

明朗な前半とはうって変わって後半で陰湿系になるのは一時の韓国映画のようで余り良くないし、そもそも終盤が解りにくい。
 その説明の為に極めて重要なネタバレをすると、本作は、1979年を生きているヒロインがタイムスリップをする方法に気付いて1999年を生きる主人公との逢瀬を繰り返すというファンタジーで、主人公はやがて、映画前半で周囲の人々が示した妙な言動の謎をこの秘密を基に解くのである。
 その事実を知る前の主人公がヒロインの家を訪れ、母親が出て来て(前後の脈絡から亡くなっていると観客が思わされる)娘がさっきまで居たように理解できる話しぶりをするのは妙である。作者が観客を騙しにかかったのなら、下手な作劇と言うしかないのだが。

やがて、彼は秘密に気付いて破壊中である旧校舎へ駆けつけ、ヒロインが遠回しに言っていたように、そこに置かれた古いピアノで速弾きをする。
 これが1999年から79年に帰る鍵であることは確かで、かくして恐らく鉄球にやられる寸前に彼は79年に飛ぶ。卒業の集合写真にはにこやかな彼女の姿が写っている。

恐らく彼の冒険の結果歴史が変わったのだろうが、このシークエンスはピントが余り合っていないと言おうか、舌足らずと言おうか、瞬時にすっかり理解できた頭脳明晰の人はともかく、ぼーっとしている輩には何ら感動が湧かないということになりかねない。この手は終わった後ではなく、観ている時にピンと来させないとダメである。

監督は主演のジェイ・チョウで、原案や音楽まで担当している。

コロナに罹患している可能性のある状態で保険会社のお姉ちゃんと長話をしてしまいました。これが僕の言えない秘密です。言ってしまったけど。

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