映画評「金田一耕助の冒険」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1979年日本映画 監督・大林宣彦
ネタバレあり

どなたかが仰っていたように「007/カジノ・ロワイヤル」(1967年)のような作品と言って良いと思う。観たと思っていたが、全く内容を憶えていないところを見ると初鑑賞? ローラースケートの場面は憶えがあるような、ないような。

横溝正史が生み出した名探偵・金田一耕助が映画でもTVでも人気を博していた頃に作られたパロディー映画であるが、この映画のお楽しみは何と言っても二種類のメタフィクションである。僕はくだらないと思ううちにも面白くて仕方がなかった。

本作は、「金田一耕助の冒険」という短編集に収められた事件のうち「瞳の中の女」事件が解決していないことをネタに映画で解決してみようという発想。
 それを提案するのが、有名彫刻家の夫人像の首を盗んだヤング盗賊団の少女首領・松田美由紀で、それを追ううちに、次々と殺人事件が起こり、周囲から批判も受ける。これについて金田一耕助(TV版でお馴染みの古谷一行)が触れて、探偵論やミステリー論を説く。これらが作品の中で登場人物が作品や自分に言及するメタフィクションその1の部類である。

メタフィクションその2は所謂楽屋落ちというやつで、解りやすいのは「人間の証明」に絡む辺りで、主題歌や帽子に加え、ご丁寧にも岡田茉莉子がその時の役で出演しているし、「白昼の死角」もパロディー的に色々と登場し、子供の歌う童謡にもこの題名が入っている。
 これらの映画を作った角川春樹が自虐的台詞を放ったり、横溝正史ご本人も登場。「白昼の死角」絡みで原作者の高木彬光が登場し、彼の生んだ名探偵・神津恭介の名前も出て来る。
 この類は無数にあり、当時流行っていたCMのパロディーも色々出て来るが、殆ど細工もないのでパロディーというよりは純然たる楽屋落ちに近い。この類は1970年代をティーンエイジャーとして生きてきた僕らの世代が一番楽しめるはずで、今見たほうが懐かしく却って楽しいかもしれない。若い人には何のこっちゃでしょうがね。
 石坂とルリ子という名前が出て来る台詞にも笑ってしまう。不二子像の顔が山口百恵(大林監督は1973年に彼女の主演で「ふりむけば愛」という作品を作っているし、この題名が台詞にもなっている)というのも解りやすい楽屋落ち。片岡千恵蔵の金田一耕助が一部見られるのは特典か?

そもそも「金田一耕助の冒険」というタイトル自体が、「シャーロック・ホームズの冒険」の模倣もしくはパロディーでござる。

「ふりむけば愛」はうっかりして二度映画評を載せてしまった作品。採点は十数年経っても全く変わらなかった。先日亡くなったジェームス三木の脚本だが、百恵=友和コンビ作の中で一番の愚作と思う。

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