映画評「スマホを落としただけなのに~最終章~ファイナル ハッキング ゲーム」
☆☆★(5点/10点満点中)
2024年日本映画 監督・中田秀夫
ネタバレあり
第2弾から4年も時間を措いたので前作までのディテイルを忘れかけているが、シリーズ第3弾である。
前の2作も個人的には相当疑問があり、2作目はサイバー犯罪に強いサイコパス浦野(成田凌)が銀髪もしくは金髪長髪の警官に成りすまして逃走に成功する幕切れが余りに非現実的すぎた。あんな警官は日本にはいない、という以前に逃走するには目立ちすぎる。
かく日本を脱出した浦野が韓国でサイバーテロ組織に協力を依頼される。日韓首脳会談を狙ってサイバーと実際のテロを仕掛けるというものだ。浦野は妙齢美人スミン(クォン・ワンピ)を付けられ、彼女に面倒を見て貰うことになる。二人には親からの児童虐待を受け児童施設にいた経験という共通点があり、冷徹なだけかと思われた浦野が次第に人間的な顔を出していく。
既にお分かりのように、3作目で主従が逆転し、サイコパスが主役になり、それを追う刑事・加賀谷(千葉雄大)が副になる。そうなると早めに想像したとおりに観客は浦野に心情的に傾くことになる。そもそも犯罪者でも主役であれば観客の心は彼なり彼女なりに傾くわけであるが、ましてここまで同情したくなる過去を出してくれば必然的にそうなる。
しかも、加賀谷も母親に虐待された過去があり、ここに変なシンパシーのような関係が生まれ、その結果何が起こるかと言えば、テロを私物化しようとした韓国サイバー組織の実務トップ(大谷亮平)や日本の悪徳官憲(井浦新)が勧善懲悪の対象になるということだ。
そもそもお話が、国家絡みとなったところで嫌な予感がした。単なるストリートレースの話がエージェントものに変じた「ワイルド・スピード」を引き合いに出すまでもなく、個人的な話が国家的な話に発展して成功したシリーズなどない。
本シリーズも同じ轍を踏むかと思いきや、同じ轍を踏む前にテロのお話はさほどの扱いをされず、再び個人的な話に戻っていく。スケールを殺人事件以上に大きくするのは無理があると思う一方、肩透かしも甚だしい。このシリーズの悪い癖で、終始とっちらかっている。
加賀谷と結婚した愛妻美乃梨(白石麻衣)が裏で大活躍する。これも前作までの彼女を考えるとちと首を傾げるところなのではある。正邪が半ば逆転しているので、何とも言えない変な印象を受けて終わる。
IMDb では3作のうち断然高い評価。 愚作と言っても良い第2作よりは良いとは思う。
スマホを落としだけなのに、火事(リチウム電池に気を付けよ)。
2024年日本映画 監督・中田秀夫
ネタバレあり
第2弾から4年も時間を措いたので前作までのディテイルを忘れかけているが、シリーズ第3弾である。
前の2作も個人的には相当疑問があり、2作目はサイバー犯罪に強いサイコパス浦野(成田凌)が銀髪もしくは金髪長髪の警官に成りすまして逃走に成功する幕切れが余りに非現実的すぎた。あんな警官は日本にはいない、という以前に逃走するには目立ちすぎる。
かく日本を脱出した浦野が韓国でサイバーテロ組織に協力を依頼される。日韓首脳会談を狙ってサイバーと実際のテロを仕掛けるというものだ。浦野は妙齢美人スミン(クォン・ワンピ)を付けられ、彼女に面倒を見て貰うことになる。二人には親からの児童虐待を受け児童施設にいた経験という共通点があり、冷徹なだけかと思われた浦野が次第に人間的な顔を出していく。
既にお分かりのように、3作目で主従が逆転し、サイコパスが主役になり、それを追う刑事・加賀谷(千葉雄大)が副になる。そうなると早めに想像したとおりに観客は浦野に心情的に傾くことになる。そもそも犯罪者でも主役であれば観客の心は彼なり彼女なりに傾くわけであるが、ましてここまで同情したくなる過去を出してくれば必然的にそうなる。
しかも、加賀谷も母親に虐待された過去があり、ここに変なシンパシーのような関係が生まれ、その結果何が起こるかと言えば、テロを私物化しようとした韓国サイバー組織の実務トップ(大谷亮平)や日本の悪徳官憲(井浦新)が勧善懲悪の対象になるということだ。
そもそもお話が、国家絡みとなったところで嫌な予感がした。単なるストリートレースの話がエージェントものに変じた「ワイルド・スピード」を引き合いに出すまでもなく、個人的な話が国家的な話に発展して成功したシリーズなどない。
本シリーズも同じ轍を踏むかと思いきや、同じ轍を踏む前にテロのお話はさほどの扱いをされず、再び個人的な話に戻っていく。スケールを殺人事件以上に大きくするのは無理があると思う一方、肩透かしも甚だしい。このシリーズの悪い癖で、終始とっちらかっている。
加賀谷と結婚した愛妻美乃梨(白石麻衣)が裏で大活躍する。これも前作までの彼女を考えるとちと首を傾げるところなのではある。正邪が半ば逆転しているので、何とも言えない変な印象を受けて終わる。
IMDb では3作のうち断然高い評価。 愚作と言っても良い第2作よりは良いとは思う。
スマホを落としだけなのに、火事(リチウム電池に気を付けよ)。
この記事へのコメント
中井監督は過去の映画から使えるものをとりいれるのがうまいなあ、と。
ただ、人物造型は、サイコだからなんでもありなんでいちいちいうのも野暮なんでしょうけれども、わりとマンガ的に処理してましたかね。そこがあっさりしていい面もある娯楽映画になっていますし。
幼少期のつらい記憶というのは一時流行りましたね。アメリカだと、レザーフェイスやブギーマンまでそういうおはなしが作られていました。ああいう殺人鬼はそんなことしないほうがいいのにねえ。
>人物造型は、サイコだからなんでもありなんでいちいちいうのも野暮なんでしょうけれども、わりとマンガ的に処理してましたかね。
そうでしたね。
僕は論理派なので、行動原理的におかしいのは気になりますが、サイコパスには行動原理が当てはまらないことが多い^^
>幼少期のつらい記憶というのは一時流行りましたね。
>ああいう殺人鬼はそんなことしないほうがいいのにねえ。
仰る通り。雑音ですよ。