映画評「橋」(1959年西ドイツ)

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1959年西ドイツ映画 監督ベルンハルト・ヴィッキ
ネタバレあり

学生時代に自主上映で観たと思っていたのは、この映画の監督ベルンハルト・ヴィッキも出演した「最後の橋」(1954年)だったのかもしれない。今回観て余りにも思い出すものがないのだ。

古い洋画がもう少し見られないとWOWOWと縁を切らねばなるまいと思っているのだが、時々こういう映画が出て来るのでうかうかしていられない。ハイビジョンの綺麗な画面による、貴重な放映だ。

1945年4月というからドイツが敗走に次ぐ敗走をしていた頃の実話らしい。
 本作の主役は、ハンス(フォルカー・ボーネット)以下7人の少年兵で、前半は彼らに赤紙が届くまでの青春模様が綴られる。多くの青春エピソードのうちに彼らの人生経験の少なさから来る純粋さが浮かび上がり、これがいよいよ後半、実戦に至るところで愚かさとして爆発し、一人を除いて自滅していくのである。
 何と軍に加わって二日目に実戦に関わり、まあ武器弾薬が扱えるだけ立派と言える一方、彼らが取る行為の数々はドイツ軍の利益に反することであり、民間人を死に至らしめ、戦いを止めようとさせたアメリカ軍人を、そして橋爆破の指揮官を殺してしまう。
 作戦上最初から爆発される予定の橋の形だけの防衛に就かせられていた少年たちは、彼らの面倒を見るはずの上官(伍長)が味方のドイツ軍に殺された為に無謀な行動をすることになったのである。

市街戦の模様がリアルで、物凄い量の銃弾爆弾が飛び交うわけではないものの迫力に唸らされる。
 僕が生涯で一番衝撃を受けた反戦映画「西部戦線異状なし」(1930年)に通ずる内容で、かの作品でもこの映画の少年たちより2歳程度しか違わない若者が戦場で悲惨な戦争の現状を知るのである。
 本作の場合は、彼ら以上に若くて故に純粋即ち(現実の前では)愚かであり、かく戦争に翻弄される哀れに胸が締め付けられることになる。

プーチンが核兵器使用をちらつかせた時、世間とは逆に、核兵器の抑止力をプーチンが信じていると思った。通常兵器を積み重ねるより核兵器一つのほうが抑止力がある。その意味で発言しているのであれば、核兵器は安い、という参政党議員の意見は正しい。但し、抑止力は反対派が懸念するミスを防がないので、各国が一斉に廃棄するのが一番良いのだが、最後の一基を廃棄するのが難しい。ここまで気温・水温が高くなると、核戦争が起こる前に自然が人間に復讐するかもしれないが。

この記事へのコメント

2025年08月12日 11:53
私はこれ、NHK教育の世界名画劇場(といってたのかな)で観ています。
個人的には、戦争映画(反戦志向)のものとしてはベストです。
少年たちの人間模様もリアルですし、当時の大人の様子もよく描かれていました。子どもの純心が彼らには分からない大人の事情に裏切られる形、戦争ゆえにもっとも残酷に出てるのですよね。
モカ
2025年08月12日 17:20
こんにちは。

私はスカパーの “シネフィルイマジカ” か”ザ・シネマ” あたりで観た記憶があります。
先日コメントが寄せられていた「ヒトラーの忘れもの」も少年たちの無残な戦争が描かれていて観ているのが辛かったです。
ドイツ側から見た第二次世界大戦の映画は他に何かありましたかね?

皆川博子が「死の泉」「総統の子ら」でこの時代のドイツを書いていますが、「総統の子ら」はヒトラーユーゲントの少年達の東部戦線での凄惨な状況が描かれているらしくて、もう何年も読みたいと思いながら手がつけられずにいます。


今、youtube で字幕版を見る事ができますよ。
オカピー
2025年08月12日 21:33
nesskoさん、こんにちは。

>子どもの純心が彼らには分からない大人の事情に裏切られる形、戦争ゆえにもっとも残酷に出てるのですよね。

だから、子供を戦争に出してはいけないわけですね。
オカピー
2025年08月12日 22:06
モカさん、こんにちは。

>「ヒトラーの忘れもの」も少年たちの無残な戦争が描かれていて観ているのが辛かったです。

デンマークの人たちが人情を持っていたのが多少救いとはなりましたが。

>ドイツ側から見た第二次世界大戦の映画は他に何かありましたかね?

モカさんの好みではないかもしれませんが、サム・ペキンパー監督「戦争のはらわた」ちゅうのがありました。
戦後ドイツ映画は1980年頃まで余り輸入されていないので、ドイツ製の戦争映画は「橋」以外は日本では殆ど知られていませんね。

>皆川博子が「死の泉」「総統の子ら」でこの時代のドイツを書いています

「ジャムの真昼」でも絡んでいたように、この方のドイツへの関心は深いようですね。