映画評「少女は卒業しない」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2023年日本映画 監督・中川駿
ネタバレあり

桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウの連作短編集を映画化したもの。この手の短編集の映画化は、近年オムニバス映画として一編一編を独立して描くことは大概しないので、前述作同様、邦画界で流行気味である、連作短編⇒長編再構築映画として作られている。
 前述作同様高校生のお話で、卒業式前日と当日の二日間弱が描かれる。

料理部部長の河合優実が答辞を担当することになるが、答辞の最終形を考えるうちに、苦い過去が去来する。
 彼女の挿話には少しミステリー要素があり、故郷に残る彼氏との仲がぎくしゃくしている小野莉奈が花火を買いに行った花火屋店主の言葉 “あんなこと” や、他人との交流が苦手で図書室に逃げ込み続けた中井友望が卒業を控えて変わろうとした理由が彼女に帰一する。それは優実ちゃんと仲の良かった男子生徒の死であり、それを乗り越えようとする優実ちゃんその人である。
 ただ、この死に関して左脳人間には説明不足の感があり、転落死だろうが、何が起こったのかはっきり分らないのは少々気に入らない。ほぼ一つの時系列で進むこの映画の中で、この二人の弁当をめぐる挿話だけが過去である。

死んだ男子生徒が口ずさんでいた “ダニー・ボーイ” も絶妙に絡んでいて、なかなか良い。彼が憶えてしまうほどこの歌を歌っていたのは、軽音部部長・小宮山莉渚が密かに応援していた男子部員・佐藤緋美である。この組合せにも必要アイテムの盗難事件というミステリーがある。

この4組の挿話は殆ど並行描写で、大きく絡み合わないながら進むが、その間に投入される関連事項の匙加減よろしく、程良くほろ苦い青春模様が軽(かろ)味を伴い、捨てがたい魅力を生み出す。青春映画は軽味が大事である。

高校は男子校だったので、こういう甘酸っぱい経験はなかった。わが校は進学校ながら、毎年文化祭を開催する。義兄はそんなことだから東大への進学人数が増えないと言っていたが、どんなもんでしょ?

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