映画評「西湖畔に生きる」

☆☆★(5点/10点満点中)
2023年中国映画 監督グー・シャオガン
ネタバレあり

グー・シャオガンという中国の新鋭監督の作品。この前に「春江水暖」というデビュー作があり、これもすぐにアップする。
 題名の西湖(日本のそれと違って、“せいこ” と読ませる)は中国の古典「西湖佳話」の西湖で、宋時代の大詩人・蘇東坡(蘇軾)とも縁があり、この映画でも引用される。

話の構図は単純。
 夫に失踪されて茶摘みをする母ジアン・チンチンと仲良く暮らす十代後半と思われる息子ウー・レイが仕事を持った頃、彼女はマルチ商法のサークルに参加することになり、遂には我を失い、実家を売ってまで商品を買う。
 息子は自分のバイトも同じような仕事だった為に詐欺とすぐに気付いて母を説得しようとするが、長い間虐げられ抑圧されてきたという被害者意識の強い彼女が得た自由感はそう簡単に彼女を解放しない。
 が、この商売が詐欺と確定し、自殺者を目撃するに及び、自失する。息子は半ば意識のない母を故郷の山に連れて行くと、奇跡が起こる。

緑豊かな山林と湖の風景を背景に進む序盤は、落ち着いた内容と美しい叙景と相まって、非常に良い。森林浴をしている気分にすらなる。
 が、上映時間の半分くらいの量を占める詐欺グループ絡みの場面はカメラワークもうるさく、その前後とトーンが一貫しないので、余り感心しない。現状の半分くらいにすれば、ぐっと評価を上げられたと思う。
 終盤の叙景は序盤同様に快いが、一度覚えた良くない印象は払拭できず。

8月(鑑賞ペース)は、偶然にも詐欺が絡む映画を多く観ることになった。

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