映画評「マロナの幻想的な物語り」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2019年フランス=ルーマニア=ベルギー映画 監督アンカ・ダミアン
ネタバレあり

実質ルーマニア製のアニメ映画である。アニメだから日本語版でも良かったが、僕の主義に従い言語版で観た。

9匹目の雑種として生を受けた子供の雌犬が親と引き離されて野良犬となるが、曲芸師に拾われ一緒に働く。彼の為にならないと悟ると再び野良になって来今度は建設労働者に可愛がられる。が、彼も自分がいるとは幸せに離れないと思って離れ、やがて少女に拾われて、マロナと名付けられて長く可愛がられるが、やがて彼女を追って車に轢かれることになる。

というお話が、轢かれたマロナ自身の回想で語られる。

マロナと関わる人間は、老若男女、悪い人間ではない。そして、彼女の接する老若男女は一人の人間の加齢とその折々の心情を反映しているようにさえ見え、やはり型通りではない。

しかし、この映画は、グラフィックを見るべき映画だろう。犬はそれほど大きくいじられていないが、人間は手足が線上になったり老人の顔が線だけで描かれたり、色々なタイプのタッチで描かれる。内容の芸術(=純文学)指向という意味ではなく、文字通り美術という意味でのアート映画である。アニメ好きというよりグラフィック好きの方にお勧めしたい。

“物語り” と “り” を付けるのが珍しい。 “物語” が “物語る” の名詞形であるのなら大昔の送り仮名の感覚を伴うものであるのに対し、現在の送り仮名の原則を考えると却って “物語り” のほうが本来なのかもしれない。 何を言っているのか解ります?(笑) For the first time の “初めて” は戦前は勿論戦後も暫く “始めて” と書いたが、今の日本では間違いとされる。この間TVを見ていたら古い新聞記事見出しに “始めて” とあり、 “ママ (原文のまま) とあった。それなら "記憶" の意味の ”おぼえる” を正規に “憶える” と書かせるように改定してよ。

この記事へのコメント

かずき
2025年09月10日 16:55
オカピーさん、こんにちは。

この作品は初めて観た時から頗る気に入ったので、高評価嬉しいです。
何と言っても画面が素晴らしく、様々な表現を駆使していて、これぞアート・アニメーション!という感じでした。
ワンコ好きということもあり、マロナの人間への愛、その波乱万丈の生涯に涙涙でした。

私も原語で観ましたが、日本語吹替ではマロナはのんちゃんが演じているようですね。
そろそろ再鑑賞したくなってきたので、吹替で観る予定です。
オカピー
2025年09月10日 21:47
かずきさん、こんにちは。

>何と言っても画面が素晴らしく、様々な表現を駆使

フランスをはじめ、欧州大陸ではこういうアニメが作られますね。
日本で長編ではこの手はちと難しいかもしれません。

>ワンコ好きということもあり

忙しいので猫も犬も飼えません。
この間のNHKのタモリと山中教授が共演する番組で、犬を飼っている人は認知症になりにくい、と言っていましたよ!