映画評「特捜部Q 知りすぎたマルコ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2021年デンマーク=ドイツ=チェコ合作映画 監督マーティン・サントフリート
ネタバレあり
「特捜部Q」シリーズの第5作。但し、主演の二人を変えているので、新シリーズと言っても良く、その意味では第1作だ。
デンマーク国境の走る列車に乗っていたロマらしい少年マルコ(ローブス・オラー)が逮捕されるが、彼が行方不明の外務省職員のパスポートを持っていたことから、迷宮入り事件に特化する特捜部Qのカール(ウルリク・トムセン)と相棒アサド(ザキ・ユーセフ)の出番となる。
新しい事件が古い事件の再捜査の契機となるという発端はいつも通りの図式。職員の失踪は彼の小児性愛が原因と目されているのだが、カールが彼の妻と娘に会った結果、どうもそれに疑問を感じずにはいられない。
NGOのメンバーとして働いてことから、その関連を調べ上げるうちに、マルコが頑なに口を閉ざす原因が職員失踪の秘密を知っているからと判明、その奥に潜む上層部の深い闇が浮かび上がる。
色々と気に入らない。
原作者ユッシ・エーズラ・オールスンはいかにも俳優然とした前の男優が気に入らなかったようだが、 映画は原作者の希望通りに作れば“映画として”良くなるとは限らないわけで、良い役者だがウルリク・トムセンには全く華がなく、つまらない要因の第一となった。
本作のアサドはいかにも受動的で面白くない。新俳優がどうのこうの以前という感じである。
旧作(もしくは前シリーズ)にあった、二人の間に漂うそこはかとないユーモアも全く感じられず、面白味を欠く。
初登場の監督の演出も不可。セミ・ドキュメンタリーよろしくハンディ・カメラを使い画面がふらふら、時に変に短いショットを積み重ねるシークエンス(シーン)があるなど、どうも落ち着かず、観始めた当初からかなりがっかりした。ただ陰鬱なだけで、前作の、固定カメラによるロング・ショットで見せることで生まれた神の視点による厳粛さが希薄だ。
全編125分あり、全体的にまだるっこい感じが否めない。
旧第1作「檻の中の女」は97分とコンパクトだったんだけどなあ。
2021年デンマーク=ドイツ=チェコ合作映画 監督マーティン・サントフリート
ネタバレあり
「特捜部Q」シリーズの第5作。但し、主演の二人を変えているので、新シリーズと言っても良く、その意味では第1作だ。
デンマーク国境の走る列車に乗っていたロマらしい少年マルコ(ローブス・オラー)が逮捕されるが、彼が行方不明の外務省職員のパスポートを持っていたことから、迷宮入り事件に特化する特捜部Qのカール(ウルリク・トムセン)と相棒アサド(ザキ・ユーセフ)の出番となる。
新しい事件が古い事件の再捜査の契機となるという発端はいつも通りの図式。職員の失踪は彼の小児性愛が原因と目されているのだが、カールが彼の妻と娘に会った結果、どうもそれに疑問を感じずにはいられない。
NGOのメンバーとして働いてことから、その関連を調べ上げるうちに、マルコが頑なに口を閉ざす原因が職員失踪の秘密を知っているからと判明、その奥に潜む上層部の深い闇が浮かび上がる。
色々と気に入らない。
原作者ユッシ・エーズラ・オールスンはいかにも俳優然とした前の男優が気に入らなかったようだが、 映画は原作者の希望通りに作れば“映画として”良くなるとは限らないわけで、良い役者だがウルリク・トムセンには全く華がなく、つまらない要因の第一となった。
本作のアサドはいかにも受動的で面白くない。新俳優がどうのこうの以前という感じである。
旧作(もしくは前シリーズ)にあった、二人の間に漂うそこはかとないユーモアも全く感じられず、面白味を欠く。
初登場の監督の演出も不可。セミ・ドキュメンタリーよろしくハンディ・カメラを使い画面がふらふら、時に変に短いショットを積み重ねるシークエンス(シーン)があるなど、どうも落ち着かず、観始めた当初からかなりがっかりした。ただ陰鬱なだけで、前作の、固定カメラによるロング・ショットで見せることで生まれた神の視点による厳粛さが希薄だ。
全編125分あり、全体的にまだるっこい感じが否めない。
旧第1作「檻の中の女」は97分とコンパクトだったんだけどなあ。
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