映画評「子連れ狼 親の心子の心」
☆☆★(5点/10点満点中)
1972年日本映画 監督・斎藤武市
ネタバレあり
シリーズ第4作は、監督が斎藤武市に、撮影監督が宮川一夫に代わった。回想シーンに入るとモノクロになるなど三隈研次が採用したスタイルを大体において踏襲しているが、三隈監督のような才気、馬力が感じられない。宮川一夫の仕事にしても余り褒められない部類と思う。彼は三隈と組んで「女系家族」など何作も撮っているが、三隈作品のほうが断然良い。
拝一刀(若山富三郎)は、尾張藩の別式女だが武芸者狐塚円記(岸田森)に辱めを受けた為に脱藩したお雪(東三千)の殺害を、尾張藩からじきじきに依頼される。一刀は彼女の出自が非人同様の扱いを受ける乞胸(ごうむね)であることからその中に入って父親と判明するその頭領・仁太夫(山村聡)に殺害を予告して去り、彼女の湯治場で発見する。
その場に狐塚が現れ、彼女が鮮やかに相手を殺すのを見留めてから、彼女を殺して荼毘に付し、父親に届ける。そこへ裏柳生の烈堂(遠藤辰雄)に唆された尾張藩の連中がやって来て仁太夫を殺害する。
恨みを晴らさんと藩邸に乗り込んだ一刀は、藩主徳川義直(小池朝雄)を人質として拉致するうち、裏柳生の猛攻に遭う。
大した必要もなくエロティックな場面を用意している以外は王道的な時代劇として推移し、絵を含めて面白味が薄くてがっかりさせられるが、荒れ地で展開するクライマックスだけは前作に劣らずマカロニ・ウェスタン風に激しく、深い塹壕のような隘路での闘いは前作にもなかった面白味と言うべし。が、この数分のお楽しみだけで★を増やすほど僕もお人好しではない。
前作に続いて出て来る女武芸指導者の別式女や乞胸という辺りの単語が出て来る辺りは、教科書には出て来ない歴史用語の勉強になる。
家康の九男である尾張藩主の命も問題としない裏柳生はデタラメも甚だしく、画面を見る限り義直は爆死したであろう。史実では義直は病死であるが、史劇(歴史小説)と時代劇(時代小説)の違いはこの辺にある。
“親の心子の心” の心(思い)の心(本質)は、 子が死ぬことにより得られる安楽を親が(生き続けることによる被るであろう辛さより)歓迎することを示している。原作由来の死生観である。
日本はシリーズ映画が多いと言われる。特にこの時代は当たると物凄い勢いで続けざまに作られた。「男はつらいよ」も1971年に3本公開され、本シリーズは72年に何と4本も公開された。
1972年日本映画 監督・斎藤武市
ネタバレあり
シリーズ第4作は、監督が斎藤武市に、撮影監督が宮川一夫に代わった。回想シーンに入るとモノクロになるなど三隈研次が採用したスタイルを大体において踏襲しているが、三隈監督のような才気、馬力が感じられない。宮川一夫の仕事にしても余り褒められない部類と思う。彼は三隈と組んで「女系家族」など何作も撮っているが、三隈作品のほうが断然良い。
拝一刀(若山富三郎)は、尾張藩の別式女だが武芸者狐塚円記(岸田森)に辱めを受けた為に脱藩したお雪(東三千)の殺害を、尾張藩からじきじきに依頼される。一刀は彼女の出自が非人同様の扱いを受ける乞胸(ごうむね)であることからその中に入って父親と判明するその頭領・仁太夫(山村聡)に殺害を予告して去り、彼女の湯治場で発見する。
その場に狐塚が現れ、彼女が鮮やかに相手を殺すのを見留めてから、彼女を殺して荼毘に付し、父親に届ける。そこへ裏柳生の烈堂(遠藤辰雄)に唆された尾張藩の連中がやって来て仁太夫を殺害する。
恨みを晴らさんと藩邸に乗り込んだ一刀は、藩主徳川義直(小池朝雄)を人質として拉致するうち、裏柳生の猛攻に遭う。
大した必要もなくエロティックな場面を用意している以外は王道的な時代劇として推移し、絵を含めて面白味が薄くてがっかりさせられるが、荒れ地で展開するクライマックスだけは前作に劣らずマカロニ・ウェスタン風に激しく、深い塹壕のような隘路での闘いは前作にもなかった面白味と言うべし。が、この数分のお楽しみだけで★を増やすほど僕もお人好しではない。
前作に続いて出て来る女武芸指導者の別式女や乞胸という辺りの単語が出て来る辺りは、教科書には出て来ない歴史用語の勉強になる。
家康の九男である尾張藩主の命も問題としない裏柳生はデタラメも甚だしく、画面を見る限り義直は爆死したであろう。史実では義直は病死であるが、史劇(歴史小説)と時代劇(時代小説)の違いはこの辺にある。
“親の心子の心” の心(思い)の心(本質)は、 子が死ぬことにより得られる安楽を親が(生き続けることによる被るであろう辛さより)歓迎することを示している。原作由来の死生観である。
日本はシリーズ映画が多いと言われる。特にこの時代は当たると物凄い勢いで続けざまに作られた。「男はつらいよ」も1971年に3本公開され、本シリーズは72年に何と4本も公開された。
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