映画評「子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎」

☆☆★(5点/10点満点中)
1973年日本映画 監督・黒田義之

シリーズ第6作にして最終作。

第4作で死んだと思った柳生烈堂(大木実)は第5作で復活、今度は拝一刀(若山富三郎)を倒す為に、唯一残った子供である末っ子の娘・香織(瞳順子)を遣わすが、彼女は大五郎(富川晶宏)の為に不覚を取る。
 烈堂は続いて、庶子で何十年も前に捨てた兵衛(木村功)に命令を下そうとする。が、捨てられ土蜘蛛になった恨みを持つ彼は応じない代わりに、裏柳生の鼻を明かすべく一刀に襲い掛かるのである(結果的には引き受けたも同じ)。

彼の作戦は拝親子に賄いをする人々を次々と殺すことで精神的に追い詰めていくというものだが、この一連の見せ方には恐怖映画のテイストがあってなかなか面白い。親子が賄われるのを避けると作戦は手詰まりになり、直接対決になると、拝には歯が立たない。

やけになった彼が血を残そうと妹と近親相姦に及ぶといきなり烈堂が現れて二人を殺す。このシークエンスはお話の進行上何の意味もない。結局、子供を全て失った烈堂は自ら、拝一刀が土蜘蛛の一味を倒す為に向った雪山で、大量の軍兵を繰り出す。

前作から加わり今回は単独で脚本を担当した中村努は「007」シリーズを参考にすることが多いのではないか。
 前作での水中での作戦の敢行に続いて、今回は「女王陛下の007」(1969年)よろしくスキーでの対決を見せる。恐らく時代劇で最初で最後のスキー軍団の活躍だろう。

火縄銃から100年も経っていない時代の銃のマシンガン仕様や、近代的なスキーなど、時代考証的にはデタラメも甚だしいが、漫画だからまあよろしい。

個人的に認識を新たにしたことがある。監督が黒田義之なのに撮影監督が牧浦地志(黒田監督の叔父)であることにより、撮影監督に森田富士郎を迎えた前作の三隈研次より、本作の画面のほうが余程僕の思う三隈作品の画面であるのだ。前作でイタリア映画的なズームは牧浦の趣味と気付いたが、超ロングショットも牧浦地志の趣味らしいのである。三隈作品の画面は6割くらい牧浦の貢献だったらしく思えて来た。

昔の時代コミックには日陰の者がよく出て来るデス。

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