映画評「グランメゾン・パリ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2024年日本映画 監督・塚原あゆ子
ネタバレあり

2019年に放映されたTVシリーズ「グランメゾン★東京」の5年ぶりの映画版。TV時代からパリが舞台になっていた模様だ。

パリ。ミシュランの三つ星を得ようと木村拓哉のシェフが奮闘するが、日本人へのやっかみもあって三つ星を取るに必要な食材が揃えられない。折も折テナント契約終了を迫られ、三つ星獲得をテナント契約維持の条件と所有権者に自ら提案する。
 シェフは、日本的な要素を入れた料理は一定の評価を得ているものの、それが三つ星獲得の障壁となっていると考え、フランス的に特化することを考える。しかし、彼の専横的な言動が周囲の反感を買い、絶対味覚を持つ相棒シェフ鈴木京香にも出て行かれてしまうし、反社会的な組織に借金をしている韓国人パティシエのオク・テギョンとの関係も前以上にぎくしゃくする。
 唯一彼を支えるのはスタッフ管理に専任する沢村一樹で、彼の働きで実はコロナで味覚障害に陥っていた京香おばさんが戻り、この辺りから木村は彼独特の感覚で周囲との関係を修繕すると、材料関係も改善、それをベースに多様性のある料理に戻り、三ツ星獲得に一致協力して邁進していく。

監督はこのところよくお目見えする塚原あゆ子で、余り癖なく見やすい画面や場面転換をするので、概ね好印象を覚えているが、本作で序盤スローと早回しを使うのはTV的で良くない。しかし、それ以降大した問題に遭遇しなかったのは幸い。

お話の方は、前半主人公の嫌な部分を見せ、かつ、諸障害を次々と提示し、終盤でそれを一気呵成に凌駕・回収していく完全カタルシス型の展開。TVファン層は喜ぶかもしれないが、作劇が極端すぎて、感心するわけには参らない。
 最後そして肝心の料理披露の部分は、評価陣の一人・富永愛によるフラッシュフォワード的な絶賛から始まるのでサスペンスは皆無、単なる紹介編に留まる。消化ならぬ昇華的なこの見せ方は一概に悪いとも言えないものの、肩透かし気味ではある。

僕は料理には興味がなくてグルメ系の番組は見たことがないし、クイズ番組でも料理絡みは殆ど解らないが、見た目だけで楽しめるよう工夫がされているのは認められる。B級グルメ(ラーメン)映画「タンポポ」(1985年)のほうが、映画としてもメニュー的にも、個人的には有難いですがね。料理の見せ方の最良のテンプレートは「タンポポ」が生み出し、後の作品はそれに追随していると思う。本作も例外ではない。

一つ星でも十分価値があるらしいので、普通はそれを目指す。来月にある冬季五輪に例えれば、全員が金メダルを目指すわけではない。出場を目指す人、入賞を目指す人、メダルを目指す人、それぞれに目標がある。

この記事へのコメント

2026年02月14日 08:30
全体にテレビドラマ的でしたね。でも、たのしかった、きれいなお料理が見られるし、キムタクにとてもよく合った役柄で、好演でした。
SMAPの人たちは、映画で観る限り、皆役者としてはすばらしいですね。
オカピー
2026年02月14日 16:49
nesskoさん、こんにちは。

>SMAPの人たちは、映画で観る限り、皆役者としてはすばらしいですね。

そう思いますね。
アンチ・ジャニーズからの批判はどの映画でもありますけど。かの中居正広主演の「模倣犯」など、原作ファンの酷評など他の要素を絡み合って、ひどい評価を受けたのが鮮烈に記憶されていますが、それなりによく出来た映画なのでした。
僕は彼の演技を含めて大いに弁護しましたよ。