映画評「#真相をお話しします」

☆☆★(5点/10点満点中)
2025年日本映画 監督・豊島圭介
ネタバレあり

若手ミステリー作家・結城真一郎のミステリー短編集から、その最終編「拡散希望」を軸に長編化を図ったミステリー。実際には、長編映画の体裁のオムニバス映画である。

「#真相をお話しします」という生配信チャンネルに、投げ銭獲得を目的とした利用者を中心にネットユーザーが多数集っている。そのうちの一人が元一流商社営業マンのビル清掃員桐山(菊池風磨)で、借金を返す為にこの企画に参加し挑戦権を得る為に、配信を通して親しくなったビル内に事務所を構える鈴木(大森元貴)と一緒に待機する。
 その前に家庭教師として訪れた家での奇禍を青年・片桐が語る(原作のタイトルは「惨者面談」)。続いて、マッチング・アプリをめぐる妙齢美人たちが6人続けて殺された事件を回避できた7人目の女性の話(「ヤリモク」)。
 そして、幸運にも番が回って来た桐山が旧友と婚約者とは知らずに巻き込まれて起こる三角関係の酸鼻を告白する(三角奸計)。
 しかし、企画者の真の狙いはここからで、進行役の砂鉄(岡山天音)は鈴木こと本名・渡辺と組み、彼らが少年時代に出演していた人気番組停止の裏で進んでいた殺人事件の犯人とそれを行わせる元凶である無名の視聴者たちをとっちめることが目的であることが判明する。

「拡散希望」という小説ではこの語り手・渡辺は単なる語りであり、長編的に構築する為にチャンネルの関係者とされたと僕は推測するが、果たして? 

一つ一つがミステリー・サスペンスとして一通りの面白味がある一方、終わってみれば社会風刺的メッセージ性が目立つ。SNSが匿名性を良いことに他人を攻撃する道具になり、少なからぬ人を傷つけている現実を浮かび上がらせるのである。寧ろ被害者側であった企画者たちは、そんな匿名の人々に好き勝手を言える原因である自らの匿名性を放棄できるか否か迫るのである。

SNSは両刃の剣で、これによって助かる人もいるが、恐らくそれ以上に傷つく人がいる。
 最近はここに留まらず、選挙結果にまで影響を及ぼしている。兵庫県知事は陰謀論渦巻くSNS時代でなければ負けたはずである。こうした風潮を進めたのが第一次トランプ政権時代に明確になったQアノンであり、そのベースにある反知性主義である。本来は左翼的である反ワクチンが寧ろ保守の連中により広められているのはその辺りが関係している。
 陰謀論の流行する要因は閉塞感を抱く人が多いことである。この映画が遠回しに言おうとしているのは、自身が抱える閉塞感を他者で解消するな、ということです。

伊東市長選では、SNSを利用しない年寄が多い小都市が舞台だから、大都市神戸を抱える兵庫県知事選のような価値観逆転のデタラメが発生しなかった。前市長を応援する人は中でもメガソーラー問題を陰謀論的に展開していたような気がするが、とりわけ外部からこの問題を取り上げる人の思想背景には環境問題を隠れ蓑にした中国への嫌悪がある。メガソーラーが環境を破壊していることは一部では正しいが、間違っている部分もある。メガソーラーによって却って(放置されている)山林の保全が進むケースがあるのではないか?

この記事へのコメント

2026年01月11日 16:54
わたしは、まず感心したのが、成長したのちの姿を連想させるような、顔立ちの似た子役を使っていたことですね。よくつれてきたものだと。

SNSは、だれでも発信できるようになったことで、いい面もありますが、わるい方向に利用する人も出てきてますよね。見なければいいわけだけど、また見ても適切に距離がとれれば、となりますが、かんたんではないですね。

自分はスマホは相変わらず使えておらず、ネット見るのはパソコンだけだし、あと、選挙で投票するときはネットやニュースとは関係ない選び方してますね。意識の低い田舎の人としての投票行動になりますかね。
オカピー
2026年01月11日 22:23
nesskoさん、こんにちは。

>成長したのちの姿を連想させるような、顔立ちの似た子役を使っていたことですね

僕もそう思いました。

>見なければいいわけだけど、また見ても適切に距離がとれれば、となりますが

有名人などはエゴ・サーチをしますから、大変でしょうね。

>自分はスマホは相変わらず使えておらず、ネット見るのはパソコンだけ

僕も似たり寄ったりですね。
スマホはある程度使えますが、若い人の半分も使えていないでしょう。
ネットを見るのはスマホだけというのは同じです。