映画評「ハイパーボリア人」
☆☆★(5点/10点満点中)
2024年チリ映画 監督ホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン
ネタバレあり
「オオカミの家」で注目されたアート作家コンビ、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの作品。実写とアニメの自在の合体と言いたいが、あやつり人形の部分がコマ撮りのストップモーション・アニメなのか、操り人形を実写したのか不明。操り人形をそのまま撮った方が圧倒的に簡単だが、こういう人たちは面倒くさいことをやるからねえ。
臨床心理学者でもある女優アントーニア・ギーゼン(本人)が患者の幻聴について聞かされ、知り合いの監督二人レオンとコシーニャにその内容を話すと、彼らはそれが詩人セラーノの言葉であると告げる。
かくしてセラーノに関する映画を作るうち、突然首相から重要なフィルム捜索の命令を受け、結局空洞地球(地底王国のようなもの)に入ると、監督二人と再会、彼らが実はヒトラーの思想とアントーニアのハイパーボリア人(ドイツ人の父親とチリ人の母親の血筋)の血を持つコピー人間を作ろうとする陰謀を進めていることを知る。
ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」的な発想の空洞地球の場面になったところから急激にドイツ表現主義映画を思わせる画面になり、ヒロインのコピー人間が作られる模様は恐らく、表現主義の代表監督フリッツ・ラング「メトロポリス」を意識しているはずである。序盤はルイス・ブニュエルの実験映画のような感じも覚えた次第で、映画ファンとしてはその辺りを見るのが良いと思う。
内容はヒトラーを持ち出したことから全体主義批判で、もっと具体的には「オオカミの家」や、本作と併映された短編「名前のノート」が1970年代から20年程続いたピノチェト政権への批判であるように、ピノチェト政権批判映画であろう。
それを重層的な入れ子構造、メタフィクションとして見せた匠気が楽しめる人には楽しめるということになる。
ピノチェトの悪政にも実はアメリカが絡んでいたことは知る人ぞ知る。そのクーデターにはCIAが絡んでい、その経済思想はシカゴ学派によったが、結局大失敗に終わった。
2024年チリ映画 監督ホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオン
ネタバレあり
「オオカミの家」で注目されたアート作家コンビ、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの作品。実写とアニメの自在の合体と言いたいが、あやつり人形の部分がコマ撮りのストップモーション・アニメなのか、操り人形を実写したのか不明。操り人形をそのまま撮った方が圧倒的に簡単だが、こういう人たちは面倒くさいことをやるからねえ。
臨床心理学者でもある女優アントーニア・ギーゼン(本人)が患者の幻聴について聞かされ、知り合いの監督二人レオンとコシーニャにその内容を話すと、彼らはそれが詩人セラーノの言葉であると告げる。
かくしてセラーノに関する映画を作るうち、突然首相から重要なフィルム捜索の命令を受け、結局空洞地球(地底王国のようなもの)に入ると、監督二人と再会、彼らが実はヒトラーの思想とアントーニアのハイパーボリア人(ドイツ人の父親とチリ人の母親の血筋)の血を持つコピー人間を作ろうとする陰謀を進めていることを知る。
ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」的な発想の空洞地球の場面になったところから急激にドイツ表現主義映画を思わせる画面になり、ヒロインのコピー人間が作られる模様は恐らく、表現主義の代表監督フリッツ・ラング「メトロポリス」を意識しているはずである。序盤はルイス・ブニュエルの実験映画のような感じも覚えた次第で、映画ファンとしてはその辺りを見るのが良いと思う。
内容はヒトラーを持ち出したことから全体主義批判で、もっと具体的には「オオカミの家」や、本作と併映された短編「名前のノート」が1970年代から20年程続いたピノチェト政権への批判であるように、ピノチェト政権批判映画であろう。
それを重層的な入れ子構造、メタフィクションとして見せた匠気が楽しめる人には楽しめるということになる。
ピノチェトの悪政にも実はアメリカが絡んでいたことは知る人ぞ知る。そのクーデターにはCIAが絡んでい、その経済思想はシカゴ学派によったが、結局大失敗に終わった。
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