映画評「フランケンシュタイン」(2023年)
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2023年メキシコ=アメリカ=カナダ合作映画 監督ギレルモ・デル・トロ
ネタバレあり
メアリー・シェリーの有名なゴシック・ホラー小説を、ギレルモ・デル・トロが映画化した作品。劇場で限定公開されたものの、基本はNetflix配信オンリーらしい。勿体ない。
北極を目指すデンマークの探検船が氷に閉じ込められ、逃走する男即ちヴィクター・フランケンシュタイン男爵(オスカー・アイザック)を救出するが、彼を追う謎の生命体(ジェイコブ・エロルディ)により負傷者が多数発生する。
ひとまず落ち着いた頃、男爵は船長に語り始める。
弟ウィリアム(フェリックス・カマラ―)の婚約者エリザベス(ミア・ゴス)の叔父ハーランダー(クリストフ・ヴァルツ)から資金と実験に使う塔の提供を受け、弟カップルも巻き込んで、死刑囚などを使って合成人間を作り上げる。その後男爵は生命体に鎖をつけて監禁するが、ヴィクターという名前以外を憶えない生命体に知性がなく創造は失敗したと決めつけ、横恋慕するエリザベスの糾弾を受けると、塔に火を放つ。
ここから生命体=怪物の回想となる。
実は心優しき生命体が塔を脱出して農家に逃げ込むと、農家に役立つことをこっそりやって “精霊” と感謝され、 やがて盲目の老人と心の交流をする。 しかるに老人が狼に襲われて死んだことから農村から立ち去ることになる。農民たちに“射殺”されるが、どんなに重傷を負っても彼は蘇生するのであり、それでここまで男爵を追ってきた、と船長に語るのである。
彼の目的は創造主の謝罪であり、力尽きようとする男爵は良心に目覚めて素直に謝り、生命体も受け入れる。
彼があっさりその謝罪を受け入れるのは、 “生きている限り自らを許し続けなさい” と老人が彼に言った言葉がベースになっていると思う。 創造主を許さない限り彼は被創造物である自分を許すことはできないと思われるからである。
生命体=怪物の心の美しさと対照を成す形で人間の業の醜さを描き出す部分もあるが、結局は生命讃歌の作品であろう。外見の醜い生命体についても業という醜い部分を持つ人間についてもその命を寿ぐ。
シェイクスピアすら彷彿とする見事な台詞が次々と紡ぎ出される。2026年度のわが映画賞脚本賞の第一候補としたい。画面も美しい。実に見事な出来と言うべし。
良い映画ではあるが、この間の「ノスフェラトゥ」といい、古典に頼り過ぎるのもどうかという気がしないでもない。
2023年メキシコ=アメリカ=カナダ合作映画 監督ギレルモ・デル・トロ
ネタバレあり
メアリー・シェリーの有名なゴシック・ホラー小説を、ギレルモ・デル・トロが映画化した作品。劇場で限定公開されたものの、基本はNetflix配信オンリーらしい。勿体ない。
北極を目指すデンマークの探検船が氷に閉じ込められ、逃走する男即ちヴィクター・フランケンシュタイン男爵(オスカー・アイザック)を救出するが、彼を追う謎の生命体(ジェイコブ・エロルディ)により負傷者が多数発生する。
ひとまず落ち着いた頃、男爵は船長に語り始める。
弟ウィリアム(フェリックス・カマラ―)の婚約者エリザベス(ミア・ゴス)の叔父ハーランダー(クリストフ・ヴァルツ)から資金と実験に使う塔の提供を受け、弟カップルも巻き込んで、死刑囚などを使って合成人間を作り上げる。その後男爵は生命体に鎖をつけて監禁するが、ヴィクターという名前以外を憶えない生命体に知性がなく創造は失敗したと決めつけ、横恋慕するエリザベスの糾弾を受けると、塔に火を放つ。
ここから生命体=怪物の回想となる。
実は心優しき生命体が塔を脱出して農家に逃げ込むと、農家に役立つことをこっそりやって “精霊” と感謝され、 やがて盲目の老人と心の交流をする。 しかるに老人が狼に襲われて死んだことから農村から立ち去ることになる。農民たちに“射殺”されるが、どんなに重傷を負っても彼は蘇生するのであり、それでここまで男爵を追ってきた、と船長に語るのである。
彼の目的は創造主の謝罪であり、力尽きようとする男爵は良心に目覚めて素直に謝り、生命体も受け入れる。
彼があっさりその謝罪を受け入れるのは、 “生きている限り自らを許し続けなさい” と老人が彼に言った言葉がベースになっていると思う。 創造主を許さない限り彼は被創造物である自分を許すことはできないと思われるからである。
生命体=怪物の心の美しさと対照を成す形で人間の業の醜さを描き出す部分もあるが、結局は生命讃歌の作品であろう。外見の醜い生命体についても業という醜い部分を持つ人間についてもその命を寿ぐ。
シェイクスピアすら彷彿とする見事な台詞が次々と紡ぎ出される。2026年度のわが映画賞脚本賞の第一候補としたい。画面も美しい。実に見事な出来と言うべし。
良い映画ではあるが、この間の「ノスフェラトゥ」といい、古典に頼り過ぎるのもどうかという気がしないでもない。
この記事へのコメント
>画面も美しい。実に見事な出来と言うべし。
CGを酷使しているんでしょうが、そんな事も気にならないレベルの出来でした。
メイキング映像も観ましたが、ジェイコブ・エロルディの顔面メイクに何時間掛かるって言ってたかな?
とにかくデル・トロ師匠はこういうのは手抜きなしで凝りまくりますね!
ジェイコブ・エロルディ、「嵐が丘」でヒースクリフですって!
何代目のヒースクリフでしょう? 4代目? ちょっと楽しみです。
>CGを酷使しているんでしょうが、そんな事も気にならないレベルの出来でした
TVドラマでも使う時代ですからつかっているはずですが、人間以外は全てCGという映画とも違うわけで、そういう場合は結果が全てでしょうね。
>デル・トロ師匠はこういうのは手抜きなしで凝りまくりますね!
好きそうですものねえ。
>ジェイコブ・エロルディ、「嵐が丘」でヒースクリフですって!
>何代目のヒースクリフでしょう?
TVや翻案(メキシコ、日本)を含めれば何十回も映像化されていますが、本格映画版に限れば一桁でしょう。日本で公開されたものに限れば、仰るように、4人目か5人目かという感じですね。