映画評「DREAMS」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2024年ノルウェー映画 監督ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
ネタバレあり

一月ほど前に観た「SEX」のダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督が三部作として作ったうちの1本である。思春期もので、前述作よりは見やすいと思う。

高校生の少女エラ・オーヴァビーが、学校の美人教師セロム・エムネトゥに惹かれていき、彼女の家に押し掛け、彼女の得意な編み物を教わるうち、恋心と意識するようになる。相手も自分に惹かれていると思っている。

というお話が、彼女自身に手記により語られるのが前半。これを最初に読んだ詩人の祖母アンネ・マリット・ヤコブセンが余り動揺もせず寧ろ文才に感心するくらいで、孫が嫌がるにも拘わらず娘即ち少女の母親アーネ・ダール・トルプに見せる。彼女は最初は教師の性虐待する疑いかかるが、やがて現実主義者の顔を出して出版しようと息まき始め、文才を認めた祖母の方が後のことを考えて躊躇する。

前作と同様に北欧らしいと思うのは、親子や家族で性について微に入り細を穿つように話し合うセックス観である。日本ではこんな家族は百に一つもないのではないか。

この監督に会話のシーンが多いのは、スウェーデンの巨匠イングマル・ベルイマンの影響を受けているような気がする。実際フェイドアウトする時に単色に染まるのは、カラーになってからのベルイマンを想起させる。

娘(少女の母)より自由な考えを持っているような祖母は反面神を信じヤコブの梯子に通ずる階段の夢もしくは幻想を見るが、映画はそれと関連づけるようになかなか美しい野外の階段に始まり、随時出して来る。こういう記号的な画面の使い方は映画として面白味を生む次第。

脚本面では、出版するに当たり母親が退職した教師と喫茶店で会う場面で、少女の二人の会話に茶々を入れるメタ的なところが面白い一方、少女が時間を経、出版することで徐々に “初恋” と距離が取れていく様子が爽やか。教師の知人と再会して二人で喫茶店にでも行くのだろうという幕切れの処理が良い。

小泉政権の時に学校における進んだ性教育が保守議員により批判され、以降漸進的とならざるを得なくなった。当時僕はこれに関し定見を持っていなかったが、授業により少年(若年)の性が乱れるという考えが的外れであっただけでなく、避妊などの知識に関しマイナスが多く、寧ろ性暴力の増加などに繋がっているとも聞く。

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