映画評「サスカチワンの狼火」

☆☆★(5点/10点満点中)
1954年アメリカ映画 監督ラオール・ウォルシュ
ネタバレあり

恐らく1980年代に観ているが不明。一昨年の暮れまでならIMDbに10000本以上投票していたので、該当ページに行くだけで簡単に確認できたのだが、一昨年暮れの IMDb での変更に伴い古いマイ・データにアクセスできなくなってしまったのだ。時間をかけて昔のノートやエクセルを開けば何とかなるが、さすがに面倒臭い。半年くらいかけてまた登録する手もなくはないが。

それはともかく、すでに大ベテランだったラオール・ウォルシュ監督の西部劇である。カナダのクリー族を軸にしているところが一応の新味であるが、やっていることはアメリカを舞台にした西部劇とほぼ同じ。

【狼火】は“のろし”と読ませるのだろう。通常は【狼煙】であるが。

クリー族の酋長に育てられた騎馬警官隊の警部補アラン・ラッドが、義兄弟ジェイ・シルヴァーズと巡行中に、モンタナから越境してきたスー族にやられた幌馬車を発見、生き残りの美人シェリー・ウィンターズを救う。
 翻って、彼の上官である新任の隊長ロバート・ダグラスにより、平和主義で防衛あるいは抑止力の為にのみ保有してきた銃器・爆薬を取り上げられた為に追いつめられたクリー族が、脅迫してくるスー族と同盟を結びつつある。その問題を難詰してくるラッドと彼に同調する者を反乱の罪で軍法会議にかけようと、隊長らは砦に急ごうとするが、それをスー族が邪魔しようと追って来る。
 他方、シェリーを殺人犯として追う保安官ヒュー・オブライアンが現れて連行しようとするが、実は弟と恋仲の彼女を横恋慕した彼が弟を殺したというのが実際である。
 かくしてラッドは彼女と親しくなり、彼女が砦に着いた後投獄されたラッド以下の脱獄に手を貸すと、彼らはクリー族に武器を与えて共に急行、ピンチに陥った警官隊をスー族から救う。

というお話で、「折れた矢」(1950年)などインディアンに理解のある白人が主人公として活躍する西部劇がこの時代大いに流行ったが、本作の出来栄えは劣悪ではないという程度。訳ありの美人が一人絡んで主人公と親しくなるという展開も定石。オブライアンとシェリーの関係についてはかなり手抜きである。
 
そんな中で前述通りアメリカン・インディアンとカナディアン・インディアンが国境をまたいで共闘しようかという部分が新味と言えば言えば新味ながら、アメリカとカナダの国境は白人が勝手に決めたものだから彼らにとって何の意味もない。この二つの部族は、単なる平和主義と好戦的という性格の違う仲の悪い隣人同士に過ぎないのである。

NHK-BSによる今回の放映は解像度はDVDレベルだが発色は良く、カナダの風景が楽しめる。

インディアンは差別用語ではないとされるのに、 相変わらず “先住民” と表記される。 カナダにはイヌイット/エスキモーもいるので、単に “先住民” ではどちらのことか解らない。現在のアメリカにインディアン事務局なる名称が残っているのは、この局が別種の先住民イヌイット/エスキモーを扱わないからであり、差別意識とは関係ない。インディアン居留地についても同様。大まかに言うと、カナダに住む新モンゴロイド系をイヌイット、アメリカ(アラスカ)以西に住む新モンゴロイド系をエスキモーと言うらしい。故にエスキモーはイヌイットと呼ばれることを拒否している。

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