映画評「戦いのあとの風景」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1970年ポーランド映画 監督アンジェイ・ワイダ
ネタバレあり
WOWOWがアンジェイ・ワイダ監督の作品を4本まとめて放映するが、本作のみ未鑑賞。未鑑賞どころか題名も知らなかった。
ポーランド人の捕虜たちがナチス・ドイツの敗走により訪れた自由に歓喜したの束の間、アメリカ軍による収容所の管理が続くことになる。収容所に女性たちがやって来る。
本の虫である主人公タデウシュ(ダニエル・オルブリフスキ)の前にポーランドのユダヤ娘ニーナ(スタニスワヴァ・チェリンスカ)が現れ、奔放な彼女に誘われる形で外に “散歩” し、 自由気分を満喫するが、 いよいよ戻る際に彼女は射殺されてしまう。
深く絶望しつつもやがて彼は色々な国に撃たれる(蹂躙される)のがポーランドの運命だと達観した心境になって、収容所の外に出て行くのである。
主人公がニーナと出会うまでは何を見せたいのか全く解らず退屈、ワイダらしい序盤の狂騒にやや閉口する気分にすらなる。しかし、二人が出る “散歩” の場面は重苦しい時代や背景の下で非常に爽やかなムードを醸成、素晴らしい気分をもたらす。このシークエンスは秀逸千万である。
この場面との類似性を以って第2の「灰とダイヤモンド」(1957年)と評するムキもあり、それはそれで正しいのだろうが、僕は、寧ろ1970年前後に流行った、若い男女の交流を描いた他国の作品群と同じ香りを感じるのである。それを検閲もあったポーランドのような閉塞的な国で作ったところに皮肉を感じる次第だ。
その奥に色々と言いたいことがあったはずで、表面的にはそれを伏せ、近代以降ポーランドは色々な国に撃たれる(=蹂躙される)という言を以って現在(製作当時)のソ連の傀儡的な体制をもその中に包めてしまっているのだと思う。
ヴィヴァルディの「四季」やポーランドの大作曲家ショパンの「英雄ポロネーズ」を使った音楽が魅力的。
かくして観終わると良い映画だったなあという気がしてくるが、☆★は余り多くは進呈いたしかねる。ワイダ映画の常連になっていくオルブリフスキがこの映画をかなり印象深いものにしたと言っておきましょう。
ロシア人には人気がないが、ソ連末期のゴルバチョフ時代は今より数段良かった。ソ連が崩壊して益々良くなると期待していたら、強権的なプーチンが現れて、スターリンの昔に戻ってしまった。
1970年ポーランド映画 監督アンジェイ・ワイダ
ネタバレあり
WOWOWがアンジェイ・ワイダ監督の作品を4本まとめて放映するが、本作のみ未鑑賞。未鑑賞どころか題名も知らなかった。
ポーランド人の捕虜たちがナチス・ドイツの敗走により訪れた自由に歓喜したの束の間、アメリカ軍による収容所の管理が続くことになる。収容所に女性たちがやって来る。
本の虫である主人公タデウシュ(ダニエル・オルブリフスキ)の前にポーランドのユダヤ娘ニーナ(スタニスワヴァ・チェリンスカ)が現れ、奔放な彼女に誘われる形で外に “散歩” し、 自由気分を満喫するが、 いよいよ戻る際に彼女は射殺されてしまう。
深く絶望しつつもやがて彼は色々な国に撃たれる(蹂躙される)のがポーランドの運命だと達観した心境になって、収容所の外に出て行くのである。
主人公がニーナと出会うまでは何を見せたいのか全く解らず退屈、ワイダらしい序盤の狂騒にやや閉口する気分にすらなる。しかし、二人が出る “散歩” の場面は重苦しい時代や背景の下で非常に爽やかなムードを醸成、素晴らしい気分をもたらす。このシークエンスは秀逸千万である。
この場面との類似性を以って第2の「灰とダイヤモンド」(1957年)と評するムキもあり、それはそれで正しいのだろうが、僕は、寧ろ1970年前後に流行った、若い男女の交流を描いた他国の作品群と同じ香りを感じるのである。それを検閲もあったポーランドのような閉塞的な国で作ったところに皮肉を感じる次第だ。
その奥に色々と言いたいことがあったはずで、表面的にはそれを伏せ、近代以降ポーランドは色々な国に撃たれる(=蹂躙される)という言を以って現在(製作当時)のソ連の傀儡的な体制をもその中に包めてしまっているのだと思う。
ヴィヴァルディの「四季」やポーランドの大作曲家ショパンの「英雄ポロネーズ」を使った音楽が魅力的。
かくして観終わると良い映画だったなあという気がしてくるが、☆★は余り多くは進呈いたしかねる。ワイダ映画の常連になっていくオルブリフスキがこの映画をかなり印象深いものにしたと言っておきましょう。
ロシア人には人気がないが、ソ連末期のゴルバチョフ時代は今より数段良かった。ソ連が崩壊して益々良くなると期待していたら、強権的なプーチンが現れて、スターリンの昔に戻ってしまった。
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