映画評「ゆりかごを揺らす手」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1991年アメリカ映画 監督カーティス・ハンスン
ネタバレあり
今月序盤はWOWOWのラインアップが今一つなので、再鑑賞が多い。1990年前後数年に渡って何故か逆恨みものが流行り、これはその中でも上出来の部類だった。
学者の夫マット・マッコイとの間に娘を持つ主婦アナベラ・シオラが第二子を妊娠するが、男性の産婦人科がどうも性的な関心を持って彼女に触診をしているようだと気付き、持病のパニック障害による呼吸困難の発作を起こす。夫に相談して訴訟することにするが、他の女性も追随した結果、医師は自殺する。
折しも妊娠していた医師の妻レベッカ・デモーネイは財産も受けられないショックで死産し、子宮も摘出する羽目になる。かくして復讐の思いに駆られたレベッカは子守として一家に接近、夫の論文をこっそり捨てて主婦を落ち込ませ、主婦が力を注いでいる温室を作るなどしてくれた発達障害の黒人アーニー・ハドスンを娘マデリーン・ジーマへの性的虐待を匂わせて追い出し、ハドスンを慕っていた幼女を激しく落胆させるが、巧妙なのは幼女にそれが母親のせいと思わせるところである。
この辺りまでは観客を少し不快にさせる程度の小手試しという感じだが、彼女の親友で不動産業者のジュリアン・ムーアが子守の正体に気づいたことからレベッカの主婦と母親の地位を簒奪してやる為の工作が過激化、温室が倒壊するように細工をして偶々やって来たジュリアンが死ぬ。本当はアナベラが対象であったが、邪魔な存在になったジュリアンが死ぬのは好都合。それどころか、アナベラの器材に細工をすることでこの事件にショックを受けた彼女を危く命を落とすところまで追い込む。
ジュリアンが死ぬ前にひどく慌てていたことに気付いたアナベラは事務所に出かけ、ジュリアンが最後に調べた家が自殺した産婦人科医の邸宅と気付く。
と来れば、最後のシークエンスは推して知るべしで、型通りと言えばそれまでだが、幼女の使い方が上手くてかなり楽しめる。序盤まどっるこい印象がある一方で、次第に怖さが増幅していく “真綿で締める” 手法が一定以上の効果を上げているので、中盤まで面白くて終盤失速するタイプよりはずっと良い。
この後「L.A.コンフィデンシャル」で有名になるカーティス・ハンスンらしい堅実な展開ぶりと言うべし。
レベッカにも同情できる部分があるので、最後は残念。
1991年アメリカ映画 監督カーティス・ハンスン
ネタバレあり
今月序盤はWOWOWのラインアップが今一つなので、再鑑賞が多い。1990年前後数年に渡って何故か逆恨みものが流行り、これはその中でも上出来の部類だった。
学者の夫マット・マッコイとの間に娘を持つ主婦アナベラ・シオラが第二子を妊娠するが、男性の産婦人科がどうも性的な関心を持って彼女に触診をしているようだと気付き、持病のパニック障害による呼吸困難の発作を起こす。夫に相談して訴訟することにするが、他の女性も追随した結果、医師は自殺する。
折しも妊娠していた医師の妻レベッカ・デモーネイは財産も受けられないショックで死産し、子宮も摘出する羽目になる。かくして復讐の思いに駆られたレベッカは子守として一家に接近、夫の論文をこっそり捨てて主婦を落ち込ませ、主婦が力を注いでいる温室を作るなどしてくれた発達障害の黒人アーニー・ハドスンを娘マデリーン・ジーマへの性的虐待を匂わせて追い出し、ハドスンを慕っていた幼女を激しく落胆させるが、巧妙なのは幼女にそれが母親のせいと思わせるところである。
この辺りまでは観客を少し不快にさせる程度の小手試しという感じだが、彼女の親友で不動産業者のジュリアン・ムーアが子守の正体に気づいたことからレベッカの主婦と母親の地位を簒奪してやる為の工作が過激化、温室が倒壊するように細工をして偶々やって来たジュリアンが死ぬ。本当はアナベラが対象であったが、邪魔な存在になったジュリアンが死ぬのは好都合。それどころか、アナベラの器材に細工をすることでこの事件にショックを受けた彼女を危く命を落とすところまで追い込む。
ジュリアンが死ぬ前にひどく慌てていたことに気付いたアナベラは事務所に出かけ、ジュリアンが最後に調べた家が自殺した産婦人科医の邸宅と気付く。
と来れば、最後のシークエンスは推して知るべしで、型通りと言えばそれまでだが、幼女の使い方が上手くてかなり楽しめる。序盤まどっるこい印象がある一方で、次第に怖さが増幅していく “真綿で締める” 手法が一定以上の効果を上げているので、中盤まで面白くて終盤失速するタイプよりはずっと良い。
この後「L.A.コンフィデンシャル」で有名になるカーティス・ハンスンらしい堅実な展開ぶりと言うべし。
レベッカにも同情できる部分があるので、最後は残念。
この記事へのコメント
この作品。レベッカ・デモーネイの熱演が光っていました。
そうです、カーティス・ハンスンの映画は、昔のよくできた映画を今にリメイクしてくれたようなものが多いですね。そのせいか、安心して楽しめる印象が残ります。
とくに「L.A.コンフィデンシャル」はテクニックのうまさも感じました。それが前面に出ないように仕上げているのも名人芸ですね。
この映画では、登場人物の中の黒人青年がよく活きていた記憶が残っています。主演女優も好演でしたね。彼女がバスが通過したところで現れる場面もとてもよかった。
>1998年に中森明菜主演ドラマ「冷たい月」を見ました。
>「冷たい月」は、この作品に酷似していると言う指摘
世の中に妙に潔癖な人がいるものです。
タイトルは、内容から推して、1993年のアメリカ映画「冷たい月を抱く女」の邦題の模倣かもですよ(笑)
>カーティス・ハンスンの映画は、昔のよくできた映画を今にリメイクしてくれたようなものが多いです
全く仰る通りで、僕はこの監督が大変好きですね。
>「L.A.コンフィデンシャル」はテクニックのうまさも感じました
本当に。仰るように、そのテクニックをひけらかさない。
素晴らしかったですねえ。
>彼女がバスが通過したところで現れる場面もとてもよかった。
印象的でした。
私生活は結構波瀾万丈です(笑)。
>レベッカ・デモーネイ
新人として、若い時代のトム・クルーズと共演した「卒業白書」でのイメージが強いですねえ。この映画でも娼婦役で、ストレートな女性役は少ない印象です。
話が全く変わって申し訳ございません。1996年の朝ドラ「ひまわり」の再放送を毎朝出勤前にBSで見ています。面白いです。川島なお美が三宅裕司の奥さん役で出ています。可愛い感じです。ネットでも結構話題になっています。
>川島なお美
黒木瞳と識別できないんですよねえ。
生まれた年も同じで、どちらも「失楽園」のヒロイン役をやっているという共通点があるのも面白い。