映画評「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」

☆☆★(5点/10点満点中)
2025年アメリカ=ドイツ合作映画 監督ウェス・アンダースン
ネタバレあり

紀元前10世紀を挟んで数世紀の間、地中海を交易で支配して北アフリカや中東に拠点を置いた民族がフェニキアである。
 フェニキアという国があったわけではないが、そのイメージを膨らませたに違いない1950年代の架空の独立国 “大フェニキア” の開発を目的として積極的に動く実業家ザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)が、彼やこの計画を良からぬものと思う輩から暗殺の手を繰り出されつつもその度に生還、相続者と決めた実の娘ではない可能性もある長女リーズル(ミア・スレアプレトン)を修道院から呼び戻し、秘書として雇い入れたスウェーデン人の昆虫学者ビョルン(マイケル・セラ)と共に、計画を達成するには足りない資金を求め、資金提供の可能性がある人々を訪れる。

その間にコルダと娘の間で交わされる母親の死をめぐるミステリーに関する会話が断続的に挿入され、そのヒントを持つコルダの異母兄弟ヌバルおじさん(ベネディクト・カンバーバッチ)に確認する為に逢いに行き、その会話の最中で彼こそ自分の命を狙っていた張本人と判明、殺し合いになる。

一種のスパイものブラック・コメディーで、経済・金銭(宗教側から見れば悪)と宗教・信心(なんちゃって善)との対立を通奏低音にして進むが、本質的に余り肌に合わないウェス・アンダースンの作品の中でも一番どう楽しんだら良いか解らない。
 彼の実写映画の中で最も楽しめたと感じた前回鑑賞作「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」は勿論、その前の「アステロイド・シティ」にも及ばない感じがある。笑いに傾かせ過ぎたのかもしれない。

固定カメラを基本とし、動かす時には必ず横移動と相変わらずのスタイルで、一か所だけズームがある。人を捉える時は必ず正面から捉え、上から捉えるショットも真上からで、斜めはない。徹底したものです。そういう画面は一応面白いものの、いつも同じなので新味はない。

主人公の名前はハンガリー風。

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