映画評「モディリアーニ!」
☆☆★(5点/10点満点中)
2024年アメリカ=イギリス=イタリア合作映画 監督ジョニー・デップ
ネタバレあり
イタリアの有名な画家アメデオ・モディリアニの或る三日間を捉えたデニス・マッキンタイアの戯曲をジョニー・デップが映画化した。以前から映画化しようとした動きがあったものの実現せず、紆余曲折の末俳優としては干され気味のデップにお鉢が回って来たらしい。所謂大昔と違って生涯を綴るタイプの伝記映画ではなく、彼の芸術に賭ける思いを綴った作品である。
1916年パリ。戦前の画家の例に洩れず全く売れないモディリアニ(リッカルド・スカマルチョ)は、カフェでの大乱闘で高価な窓ガラスを壊して逃走する。その罪の意識で警察に追われると思う一方で、美人記者ベアトリス・ヘイスティングズ(アントニア・デスプラ)を愛人かつミューズとして絵画や塑像をものす日々を送るうち、画商ズボロウスキーの発言から自信作を好事家ガニャ(アル・パチーノ)に売って故郷のイタリアへ帰ろうと図るが、どうも画商はテキトーなことを言っていたらしく、すげない評価しか得られない。
かくしてすっかり荒れた彼はベアトリスとも縁が切れ、画業を諦めるつもりになる。
勿論画家として復活して数年後に死んでしまうのだが、大体以上のようなお話と理解すれば良いだろう。
その間に、出征して邪魔扱いされてすぐに戻って来るアル中のユトリロ(ブリュノ・グエリ)、ロシア出身の野生児的な画家スーティン(ライアン・マクバーランド)との乱雑だが愛情いっぱいの交友関係も綴られるのが、美術史に趣味のある方には勉強になりそうだ。
しかし、「モンパルナスの灯」(1958年)のジェラール・フィリップによる破滅型の中にも繊細さを感じさせるモディリアニとは対照的な乱暴千万ぶりにどうも気分が乗って来れず、次第に画業に対する彼の思いが浮かび上がってくるに連れてそうしたネガティヴな印象は減っていくも、長時間薄暗い場面が続いてげんなりさせる。
僕にとって、主人公に対する共感度は作品の評価に影響を及ぼさない。嫌な奴でも興味を引き続ける魅力があれば良い。しかるに、本作の描き出すモディリアニは余り魅力的とも言いかねる。
「モンパルナスの灯」は写実主義という表現で良いだろうが、こちらは所謂くそリアリズムの汚らしい感じが強く映画として有難からず。
芸術家の伝記映画では、画家が一番多いですね。次は文学者、続いて音楽家か。
2024年アメリカ=イギリス=イタリア合作映画 監督ジョニー・デップ
ネタバレあり
イタリアの有名な画家アメデオ・モディリアニの或る三日間を捉えたデニス・マッキンタイアの戯曲をジョニー・デップが映画化した。以前から映画化しようとした動きがあったものの実現せず、紆余曲折の末俳優としては干され気味のデップにお鉢が回って来たらしい。所謂大昔と違って生涯を綴るタイプの伝記映画ではなく、彼の芸術に賭ける思いを綴った作品である。
1916年パリ。戦前の画家の例に洩れず全く売れないモディリアニ(リッカルド・スカマルチョ)は、カフェでの大乱闘で高価な窓ガラスを壊して逃走する。その罪の意識で警察に追われると思う一方で、美人記者ベアトリス・ヘイスティングズ(アントニア・デスプラ)を愛人かつミューズとして絵画や塑像をものす日々を送るうち、画商ズボロウスキーの発言から自信作を好事家ガニャ(アル・パチーノ)に売って故郷のイタリアへ帰ろうと図るが、どうも画商はテキトーなことを言っていたらしく、すげない評価しか得られない。
かくしてすっかり荒れた彼はベアトリスとも縁が切れ、画業を諦めるつもりになる。
勿論画家として復活して数年後に死んでしまうのだが、大体以上のようなお話と理解すれば良いだろう。
その間に、出征して邪魔扱いされてすぐに戻って来るアル中のユトリロ(ブリュノ・グエリ)、ロシア出身の野生児的な画家スーティン(ライアン・マクバーランド)との乱雑だが愛情いっぱいの交友関係も綴られるのが、美術史に趣味のある方には勉強になりそうだ。
しかし、「モンパルナスの灯」(1958年)のジェラール・フィリップによる破滅型の中にも繊細さを感じさせるモディリアニとは対照的な乱暴千万ぶりにどうも気分が乗って来れず、次第に画業に対する彼の思いが浮かび上がってくるに連れてそうしたネガティヴな印象は減っていくも、長時間薄暗い場面が続いてげんなりさせる。
僕にとって、主人公に対する共感度は作品の評価に影響を及ぼさない。嫌な奴でも興味を引き続ける魅力があれば良い。しかるに、本作の描き出すモディリアニは余り魅力的とも言いかねる。
「モンパルナスの灯」は写実主義という表現で良いだろうが、こちらは所謂くそリアリズムの汚らしい感じが強く映画として有難からず。
芸術家の伝記映画では、画家が一番多いですね。次は文学者、続いて音楽家か。
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