映画評「入国審査」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2023年スペイン=ベルギー映画 監督アレハンドロ・ロハス、フアン・セバスチャン・バスケス
ネタバレあり

これは第1次トランプ政権時辺りの入国審査の話かもしれない(監督の経験がベースになっているとの由)が、第2次になってもっと厳しくなったと聞く。実際にやっているか知らないが、今年からESTAを持っている通常の観光客にも過去のSNS全て(5年間)とメール履歴(遡ること10年間)をチェックするという報道を読んだ。ドジャーズの試合やワールドカップを観に行っただけでSNS云々もないものだ。多分完全にはやっていないだろう。年間延べ数千万人も入って来るアメリカでそんなことをやったら職員がへたばってしまうし、観光客も激減する(実際昨年度はトランプ発言が原因で数パーセント減っている)。

しかし、移民ヴィザがあるとは言っても、移民となればこの映画が描いたような厳しいチェックが入っても何の不思議はない。とりあえずお話をば。

ヴェネズエラ出身でスペインで数年過ごしている三十代の青年ディエゴ(アルベルト・アンマン)が事実婚の妻エレーナ(ブルーナ・クシ)と、当選した移民ヴィザを実行に移そうとアメリカにやって来る。ところが、別室に連れていかれ、最初は二人一緒に、続いて一人ずつ、美人審査官バスケス(ラウラ・ゴメス)と男性のバレット審査官(ベン・テンプル)によって微に入り細を穿つ形で、過去のことをほじくり返される。

というお話で、この話で思い出したのは、大学時代に鉄道公安官にキセルの疑いをかけられ、 思った以上長く続く質問に “引継ぎの電車の間に合わなくなってしまう” と言うと、 “そんなの関係ねえ” と言い返された時のことである。
 本作のカップルも似た状況になるが、ここまで拘られた理由は青年が非正規移民の多いヴェネズエラ出身だからである。ヴェネズエラが嫌いでも正規のルートでやって来る人をつかまえてここまでやる必要はないと思うが、アメリカまして今のアメリカなら十二分にあり得る話であり、僕はサスペンスというより一種のアメリカ・スケッチの作品と思って観ていた。
 そして、彼らのチェックを通して二人の関係が浮かび上がる人間ドラマの要素も色濃く、この二つの絡み合いを見るとなかなか面白い作品でござる。

サイレント時代の映画のように77分と短いのが忙しい身には嬉しい。

この記事へのコメント

2026年06月03日 07:40
この映画、近々WOWOWでホウ素があるのでチェックしようとは思ってます


一方で去年ICE(IMMIGRATION AND CUSTUM ENFORCEMENT) に酷い目に遭わされました(汗)

私はアメリカ生まれなのでいつも冒頭に発言しいつもは「WELCME BACK!」 と親密な雰囲気になるのですがその日だけは「あなたのような方を探していました」と別室に連れ込まれ、「なぜ20歳の時にアメリカの市民権を捨てたんだ’の一点張り
私は「大学2年生だから、卒業すること最優先で、I HAD NO CHOICE!」と何度説明しても理解してもらえず、けっきょくスーツケースも開けられ1時間かかりました
最後は解放されたんですが外に 外に出ると「◯ドルで市内まで送るよ」というタクシーの運ちゃんがいたので飛び乗って「酷い目にあった」というと「それはICE 最近発足したんだ」との即答が!
思わずガッテン、だったのです


さあて映画はどんな展開でしょう(ドキドキ)
オカピー
2026年06月03日 20:52
onscreenさん、こんにちは。

>私はアメリカ生まれ

おおっ、そうですか!
記事を読んでいると、時にアメリカから発信されている感じがありましたが。
今は日本から時々渡米する感じでしょうか?
2026年06月07日 10:45
はい、そうです


残念ながら 映画は見損ないました。。。
オカピー
2026年06月08日 07:55
onscreenさん、こんにちは。

>残念ながら 映画は見損ないました。。。

ああ、これはWOWOWでの配信はないんですねえ。
次は6/28午前0:10分にあります。感覚的には6/27の夜という感じですね。見なくても一生の損失というほどではないと思いますが。