映画評「パディントン 消えた黄金郷の秘密」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2024年イギリス=フランス=日本=アメリカ=コロンビア合作映画 監督ドゥーガル・ウィルスン
ネタバレあり
第1作で面白いが大人が喜ぶわけにも行かないだろうという印象を持った後、第2作の趣味の良さを買った。この第3作も、ストーリーはやや定石すぎる印象を回避できないものの、やはり英国らしい上品さを伴う面白さがあり、なかなかよろし。
クマのパディントン君(声:ベン・ウィショー)が、恩グマのルーシーおばさん(声:イメルダ・スタウントン)の不調を訴える手紙を老グマ・ホームを営む修道院院長(オリヴィア・コールマン)から受け取り、寄寓するブラウン家の4人と共にペルーへ赴くが、到着するや否や、おばさんが行方不明になっていることを知らされる。
残されていた地図からアマゾン支流のジャングルに出かけたと推測され、一家を挙げて川に向い、ハンター(アントニオ・バンデラス)とジーナ(カルラ・トウス)の父娘が営むレジャー船を雇う。ところが、ハンターは5世紀ほどに渡りエル・ドラドの黄金郷を探す一族の末裔で、悪党の先祖に導かれて、同地へ導くクマと信ずるパディントンを頼った挙句に殺してしまおうと考え始める。
修道院側では連絡の途絶えた一家を心配し、実は最先端の機能を持っている修道院のツールを使って探し当て、院長以下がおんぼろ飛行機で向かい、途中で一家を拾ってパディントンたちを追う。
という冒険コメディー仕立てで、冒険的なお話においてグループの構成員を二分させてしまう作劇は散漫になって上手く行かないことも珍しくないが、本作ではクロス・カッティングの配分と呼吸よろしきを得て楽しめる。同じように二手に分けてジャングル遭難場面を描いた「ジュラシック・ワールド/復活の大地」よりずっと良い。
冒険模様は型通りといえども、主人公がクマであるからそれだけで異化効果があり、そこにお馴染みの映画のパロディーを大量に投入して楽しませて貰える。修道院での「サウンド・オブ・ミュージック」と、パディントンらが転がる大石から逃げるのは「インディ・ジョーンズ」シリーズから。そこまで露骨ではないものでは、パディントンが傘で空を飛ぶ「メリー・ポピンズ」、ブラウン家の父親(ヒュー・ボネヴィル)が蜘蛛に顔を覆われる「エイリアン」などがある。「2001年宇宙の旅」など音楽でパロディー感覚を打ち出したものもあります。
全体として扱いがマイルドなのが良い。お笑いにしても過剰に走らず、故郷と家族の絆の扱いも上品。アメリカ映画ではなかなかこうは行かない。
タイトルに mystery が付く作品が複数翻訳される(エラリー・クイーンが典型)と、mystery の対訳が「謎」と「秘密」の二つに分かれる。本来は「謎」だろうが、初めて mystery を「秘密」と訳した人のセンスが面白い。
2024年イギリス=フランス=日本=アメリカ=コロンビア合作映画 監督ドゥーガル・ウィルスン
ネタバレあり
第1作で面白いが大人が喜ぶわけにも行かないだろうという印象を持った後、第2作の趣味の良さを買った。この第3作も、ストーリーはやや定石すぎる印象を回避できないものの、やはり英国らしい上品さを伴う面白さがあり、なかなかよろし。
クマのパディントン君(声:ベン・ウィショー)が、恩グマのルーシーおばさん(声:イメルダ・スタウントン)の不調を訴える手紙を老グマ・ホームを営む修道院院長(オリヴィア・コールマン)から受け取り、寄寓するブラウン家の4人と共にペルーへ赴くが、到着するや否や、おばさんが行方不明になっていることを知らされる。
残されていた地図からアマゾン支流のジャングルに出かけたと推測され、一家を挙げて川に向い、ハンター(アントニオ・バンデラス)とジーナ(カルラ・トウス)の父娘が営むレジャー船を雇う。ところが、ハンターは5世紀ほどに渡りエル・ドラドの黄金郷を探す一族の末裔で、悪党の先祖に導かれて、同地へ導くクマと信ずるパディントンを頼った挙句に殺してしまおうと考え始める。
修道院側では連絡の途絶えた一家を心配し、実は最先端の機能を持っている修道院のツールを使って探し当て、院長以下がおんぼろ飛行機で向かい、途中で一家を拾ってパディントンたちを追う。
という冒険コメディー仕立てで、冒険的なお話においてグループの構成員を二分させてしまう作劇は散漫になって上手く行かないことも珍しくないが、本作ではクロス・カッティングの配分と呼吸よろしきを得て楽しめる。同じように二手に分けてジャングル遭難場面を描いた「ジュラシック・ワールド/復活の大地」よりずっと良い。
冒険模様は型通りといえども、主人公がクマであるからそれだけで異化効果があり、そこにお馴染みの映画のパロディーを大量に投入して楽しませて貰える。修道院での「サウンド・オブ・ミュージック」と、パディントンらが転がる大石から逃げるのは「インディ・ジョーンズ」シリーズから。そこまで露骨ではないものでは、パディントンが傘で空を飛ぶ「メリー・ポピンズ」、ブラウン家の父親(ヒュー・ボネヴィル)が蜘蛛に顔を覆われる「エイリアン」などがある。「2001年宇宙の旅」など音楽でパロディー感覚を打ち出したものもあります。
全体として扱いがマイルドなのが良い。お笑いにしても過剰に走らず、故郷と家族の絆の扱いも上品。アメリカ映画ではなかなかこうは行かない。
タイトルに mystery が付く作品が複数翻訳される(エラリー・クイーンが典型)と、mystery の対訳が「謎」と「秘密」の二つに分かれる。本来は「謎」だろうが、初めて mystery を「秘密」と訳した人のセンスが面白い。
この記事へのコメント
エルドラドのオチもいいし、ヒュー・グラントがさいごをおかしみでふんわりまとめてくれてました。
英国のセンスのいいところを感じました。
>下品にならないのがいいですよね。
一部で下品に傾く英国映画で出て来た時代もありましたが、英国映画の強みですね。
>ヒュー・グラント
すっかり前作でのご出演を忘れており、最初ピンと来ませんでした。あはは。年を取るといけません。