映画評「シンペイ 歌こそすべて」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2025年日本映画 監督・神山征二郎
ネタバレあり
昭和半ば生まれには、中山晋平も古賀政男も戦前の音楽の貢献者というイメージが強くてそう強く識別できないとは言え、本作の主人公である中山晋平は童謡・唱歌に有名な歌が多く、古賀には流行歌が多いという印象は概ね間違いないのではないか。
音楽関係の仕事を目指す中山(中村橋之助)は十代半ばで上京し、演劇の第一人者・島村抱月(緒方直人)の書生になる。島村が彼に音楽の才能があると気付いたことから東京音楽学校に籍を置くことになり、卒業後は音楽教師をしながら作曲をし続ける。
彼が名声を得るのは、島村が早稲田大学退任後、不倫騒動で文芸協会を放逐された愛人・松井須磨子(吉本実憂)などと作った芸術座の演目「復活」における「カチューシャの唄」での大当たりによる。
芸術座絡みで次々とヒットを飛ばすうちに、詩人・野口雨情(三浦貴大)に請われて彼の詩「かれすすき」にメロディーを付け「船頭小唄」と改題して大当たりを飛ばし、童謡「しゃぼん玉」なども大評判になり、地位を確定的なものにする。程なく西條八十(渡辺大)と組んで同様にヒット曲を飛ばし、かくして日本ビクター専属の作曲家となる。
細君・敏子(志田未来)が病弱の為養子を二人迎え、彼女は彼らが年頃になった頃逝去する。中山は「東京音頭」の元ネタとなった霧島音頭を歌った芸者喜代三(中越典子)と再婚する。
というお話が彼の死後の回想として語られる、編年体式の伝記映画としては型通りの構成。およそ半世紀に渡るサクセス・ストーリーでNHKの朝の連続小説にふさわしい内容であるから、2時間少々の上映時間では取捨選択を大胆に行う為駆け足的にならざるを得ず、その辺に不満を覚えるムキもあるようだが、ダイジェスト的であるから雑であるというわけではなく、神山征二郎の監督作品であるから実際は雑どころか丁寧に描くべきところはその通りに作られている。ダイジェスト=雑という感想は短絡的でござる。
ここに出て来る人物は全て知っているしある程度理解していたことが多いが、日本の歌謡界を巡る流れが一通り解るのは勉強になる。若い人には尚更であろう。尤も、知らない人物が多数出て来てごちゃごちゃする可能性も大いにあるが。
西條八十と並ぶ詩人・作詞家の佐藤惣之助の名前が全く出て来ないのは、古賀政男との繋がりが多い一方、中山と関わる要素がなかったからだろう。
中山晋平が成功したのは、日本人がヨナ抜音階を好むのを知っていたから。ヨナ抜音階という言葉は本編でも出て来る。ただ、童謡・唱歌では良いが、流行歌においてはこれをうまく使わないと、今の耳には古臭く感じるので、気を付けましょう。
細君役の志田未来は子役の時に何故かちゃんと記憶した。本作の彼女を見るうちに(角度によって)誰かに似ているなあと思っていたら、どうもクイズ番組「Qさま」で見かけることの多い村井美樹でござった。話し方まで似ている。
2025年日本映画 監督・神山征二郎
ネタバレあり
昭和半ば生まれには、中山晋平も古賀政男も戦前の音楽の貢献者というイメージが強くてそう強く識別できないとは言え、本作の主人公である中山晋平は童謡・唱歌に有名な歌が多く、古賀には流行歌が多いという印象は概ね間違いないのではないか。
音楽関係の仕事を目指す中山(中村橋之助)は十代半ばで上京し、演劇の第一人者・島村抱月(緒方直人)の書生になる。島村が彼に音楽の才能があると気付いたことから東京音楽学校に籍を置くことになり、卒業後は音楽教師をしながら作曲をし続ける。
彼が名声を得るのは、島村が早稲田大学退任後、不倫騒動で文芸協会を放逐された愛人・松井須磨子(吉本実憂)などと作った芸術座の演目「復活」における「カチューシャの唄」での大当たりによる。
芸術座絡みで次々とヒットを飛ばすうちに、詩人・野口雨情(三浦貴大)に請われて彼の詩「かれすすき」にメロディーを付け「船頭小唄」と改題して大当たりを飛ばし、童謡「しゃぼん玉」なども大評判になり、地位を確定的なものにする。程なく西條八十(渡辺大)と組んで同様にヒット曲を飛ばし、かくして日本ビクター専属の作曲家となる。
細君・敏子(志田未来)が病弱の為養子を二人迎え、彼女は彼らが年頃になった頃逝去する。中山は「東京音頭」の元ネタとなった霧島音頭を歌った芸者喜代三(中越典子)と再婚する。
というお話が彼の死後の回想として語られる、編年体式の伝記映画としては型通りの構成。およそ半世紀に渡るサクセス・ストーリーでNHKの朝の連続小説にふさわしい内容であるから、2時間少々の上映時間では取捨選択を大胆に行う為駆け足的にならざるを得ず、その辺に不満を覚えるムキもあるようだが、ダイジェスト的であるから雑であるというわけではなく、神山征二郎の監督作品であるから実際は雑どころか丁寧に描くべきところはその通りに作られている。ダイジェスト=雑という感想は短絡的でござる。
ここに出て来る人物は全て知っているしある程度理解していたことが多いが、日本の歌謡界を巡る流れが一通り解るのは勉強になる。若い人には尚更であろう。尤も、知らない人物が多数出て来てごちゃごちゃする可能性も大いにあるが。
西條八十と並ぶ詩人・作詞家の佐藤惣之助の名前が全く出て来ないのは、古賀政男との繋がりが多い一方、中山と関わる要素がなかったからだろう。
中山晋平が成功したのは、日本人がヨナ抜音階を好むのを知っていたから。ヨナ抜音階という言葉は本編でも出て来る。ただ、童謡・唱歌では良いが、流行歌においてはこれをうまく使わないと、今の耳には古臭く感じるので、気を付けましょう。
細君役の志田未来は子役の時に何故かちゃんと記憶した。本作の彼女を見るうちに(角度によって)誰かに似ているなあと思っていたら、どうもクイズ番組「Qさま」で見かけることの多い村井美樹でござった。話し方まで似ている。
この記事へのコメント