映画評「新世紀ロマンティクス」

☆☆★(5点/10点満点中)
2024年中国=フランス=日本合作映画 監督ジャ・ジャンクー
ネタバレあり

ジャ・ジャンクーの「帰れない二人」以来の新作。
 なのだが、実は「帰れない二人」の完全なる焼き直しで、2001年の大同、2006年の長江周辺、そして製作当時の大同という構成が全く同じ。
 そのヒロインであるチャオ(チャオ・タオ)が失踪した腐れ縁のビン(リー・チュウビン)を探した末に遂に再会を果たす。というお話自体もほぼ同じ。
 これでは余り喜べない。

長江哀歌」や「帰れない二人」の為に撮っていた映像やこれらの映画からの映像を再構築しているようである。

序盤の大同時代において、ワイドスクリーンとスタンダード画面が交互に出て来て(後で、古い映像を使っているから・・・と謎は解明する)、全く要領を得ないと言うか一人合点なので首を傾げているうちに、2006年の三峡ダム建築が始まろうという長江周辺(重慶など)の場面になって、やっと満足できる映画になる。それまでとは打って代わって魅力ある画面群という感じである。

「帰れない二人」の最後は2017年で、この時脳内出血で彼は半身不随になるが、この映画でもそれを踏まえて足が悪い状態で出て来る。かの映画ではビンが出て行ってしまうのに対し、2022年が最後となるこの作品ではチャオのほうが縁を切ろうかという印象。広場周辺を走るランナーたちに交じってチャオが走り出すからであるが、これとて鑑賞者の勝手な印象にすぎず、曖昧である。

終盤、2022年の中国の厳しすぎるコロナ対策がずっと紹介され続ける。はっきりとはしないものの、一種の風刺であると思って良いのだろう。
 いずれにしても、彼の作品では中国の恐ろしいまでの発展、即ち急激な変貌が良くも悪しくも国民を翻弄するのである。そこにロマンスの変転も重ねようというのが彼の作品群であった。しかるに、本作はそれが余り明快ではないような気がして、「長江哀歌」以降の諸作に及ばない。

チャオ・タオは、21世紀のモニカ・ヴィッティか。解る人には解ると思う。

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