映画評「KNEECAP/ニーキャップ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2024年アイルランド=イギリス合作映画 監督リッチ・ペピアット
ネタバレあり
21世紀になり世界音楽の潮流はラップとなったので、ラップ・ミュージシャンのサクセス・ストーリーを綴る映画が増えている。
尤も、最近僕はラップは音楽ではなく、新しい芸術分野ではないかと考えている。歌は文学と音楽の合体であるが、サンプリングと言って既成曲をBGMの如く利用して自作の詩を披露するタイプのものなどは音楽の “歌” とは少し違う気がするのである。いずれにしても積極的に聴かないジャンルだから、余り気が進まずに観ることも多い。
本作は、モウグリ・バップ通称ニーシャ、モ・カラ通称リーアム、DJプロヴィあるいはJJの三人から成る北アイルランドのラップ・グループ “ニーキャップ” のプロとなっていく様子を描いてい、主役が本人たちが演じている。
その割にドキュメンタリー性は希薄でかなりフィクショナルな印象を覚える。大型カメラでじっくり描いているということもあるだろう。
それでいてサクセス・ストーリーというより彼らのアイルランドへの帰属意識を中心に綴り、ちょっと変わったタイプの伝記映画になっている。そして、彼らの人気は北アイルランド大衆の反英の立場に立脚する。
北アイルランドでは以前のような直接的なテロ行為はなくなったという印象を、日本にいる僕は受けているが、それでも反英的な意識が強い人や宗教的に馴染まないカトリック教徒が多いわけで、彼らは反英意識の為に英語を話さないのである。
この映画の面白さは言葉と民族意識の関係を示したことにあると思う。麻薬売買を生業としているメンバー(当時は二人)の一人を捕えた英国人女性刑事(ジョシー・ウォーカー)は英語を話せないことを証明しないと公務執行妨害に当たるなどと言っている。実に興味深い。
その時彼女に通訳のような形で選ばれた時に容疑者の才能に気付いたDJプロヴィは学校関係者であり、奥方(フィオノーラ・フラハティ)は放送ジャーナリスト。
ラップは個人的なこと、あるいは政治的なことのどちらか或いはその両方を綴ることを多く、彼らは一種政治的な歌詞を歌うタイプである。ラップより北アイルランドに興味がある人が観た方が良いかもしれない。
本格ラップは歌い継がれないと言われている。何故なら自分の名前を出すなど極めて個人的であり、普遍性が低いからだそうだ。一部に例外があるかもしれないものの、納得できるものはある。
2024年アイルランド=イギリス合作映画 監督リッチ・ペピアット
ネタバレあり
21世紀になり世界音楽の潮流はラップとなったので、ラップ・ミュージシャンのサクセス・ストーリーを綴る映画が増えている。
尤も、最近僕はラップは音楽ではなく、新しい芸術分野ではないかと考えている。歌は文学と音楽の合体であるが、サンプリングと言って既成曲をBGMの如く利用して自作の詩を披露するタイプのものなどは音楽の “歌” とは少し違う気がするのである。いずれにしても積極的に聴かないジャンルだから、余り気が進まずに観ることも多い。
本作は、モウグリ・バップ通称ニーシャ、モ・カラ通称リーアム、DJプロヴィあるいはJJの三人から成る北アイルランドのラップ・グループ “ニーキャップ” のプロとなっていく様子を描いてい、主役が本人たちが演じている。
その割にドキュメンタリー性は希薄でかなりフィクショナルな印象を覚える。大型カメラでじっくり描いているということもあるだろう。
それでいてサクセス・ストーリーというより彼らのアイルランドへの帰属意識を中心に綴り、ちょっと変わったタイプの伝記映画になっている。そして、彼らの人気は北アイルランド大衆の反英の立場に立脚する。
北アイルランドでは以前のような直接的なテロ行為はなくなったという印象を、日本にいる僕は受けているが、それでも反英的な意識が強い人や宗教的に馴染まないカトリック教徒が多いわけで、彼らは反英意識の為に英語を話さないのである。
この映画の面白さは言葉と民族意識の関係を示したことにあると思う。麻薬売買を生業としているメンバー(当時は二人)の一人を捕えた英国人女性刑事(ジョシー・ウォーカー)は英語を話せないことを証明しないと公務執行妨害に当たるなどと言っている。実に興味深い。
その時彼女に通訳のような形で選ばれた時に容疑者の才能に気付いたDJプロヴィは学校関係者であり、奥方(フィオノーラ・フラハティ)は放送ジャーナリスト。
ラップは個人的なこと、あるいは政治的なことのどちらか或いはその両方を綴ることを多く、彼らは一種政治的な歌詞を歌うタイプである。ラップより北アイルランドに興味がある人が観た方が良いかもしれない。
本格ラップは歌い継がれないと言われている。何故なら自分の名前を出すなど極めて個人的であり、普遍性が低いからだそうだ。一部に例外があるかもしれないものの、納得できるものはある。
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