映画評「ファンファーレ!ふたつの音」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2024年フランス映画 監督エマニュエル・クールコル
ネタバレあり
ビートルズの「恋に落ちたら」If I Fellという名曲があり、色々と難しいことをやっているのだが、主旋律と副旋律がジョン・レノンかポール・マッカートニーか判然としないというのが特に面白いのだ。Aメロ(厳密には歌によるイントロ)をジョンが歌っているのでそのままジョンが主旋律を歌っていると考えるのが普通で、実際その通りで間違いないと思うが、ある人曰く、Cメロ(本当はBメロ=ブリッジ)でポールに主旋律が移る、と。
何でこんなことを述べたかと言いますと、この映画の作り方がそんな感じなのである。まして音楽がテーマの映画ですからね。
世界的な指揮者でクラシック作曲家のティボ(バンジャマン・ラヴェルネ)が白血病に倒れる。骨髄移植を妹に求めた結果血縁関係のないことが判明し、調べていくと両親とも同じ弟ジミー(ピエール・ロッタン)に行き着く。二人とも別の家の養子になったのだ。
上流階級の家に育ったティボに対して、下層階級に育ち現在も生活に苦労しているジミーは反感を覚えるもそこは兄弟、骨髄移植に応ずる。音楽好き故に気の合うところも多い兄弟で、ティボは、ジミーが所属する鉱山音楽隊が難局にぶつかっているのを見て、弟に指揮の仕方などを伝授していく。
骨髄移植の “成功” から後は、ジミーやその所属する階級とりわけ別れた細君の工場閉鎖に絡む騒動といった苦闘が彼らの音楽活動の背景として揺曳するようになる。主旋律からジョンからポールに移った感があるところである。
しかるに映画はここで変化球を投げる。骨髄移植は成功していなかったと判明するのである。
そんな状況の下ティボが苦痛の中で完成させた自作曲を指揮し終えると、突然スティックによる「ボレロ」が二階席から聞こえ、やがてアカペラによる合唱が始まり、これにオーケストラの面々が各楽器を弾き始める。かの曲に匹敵するような素晴らしいハーモニーに感動を禁じ得ないことになる。
途中から一時英国映画界が大量に作った復興実話もののようになっていくと思わせておいて、最後はティボに戻り、しかり、それにジミー側が深く絡むという構成に少々驚いた。
大衆的だが、通俗に少なくとも低俗には陥っていない内容に拍手を送りたい。うるさ型でも余程ひねくれていない限り喜んで観ることができるのではないかという気がする。
英語の chorus には二つの意味があり、一つは日本人も使うコーラスだが、もう一つは日本語の【サビ】にほぼ相当する音楽用語だ。
2024年フランス映画 監督エマニュエル・クールコル
ネタバレあり
ビートルズの「恋に落ちたら」If I Fellという名曲があり、色々と難しいことをやっているのだが、主旋律と副旋律がジョン・レノンかポール・マッカートニーか判然としないというのが特に面白いのだ。Aメロ(厳密には歌によるイントロ)をジョンが歌っているのでそのままジョンが主旋律を歌っていると考えるのが普通で、実際その通りで間違いないと思うが、ある人曰く、Cメロ(本当はBメロ=ブリッジ)でポールに主旋律が移る、と。
何でこんなことを述べたかと言いますと、この映画の作り方がそんな感じなのである。まして音楽がテーマの映画ですからね。
世界的な指揮者でクラシック作曲家のティボ(バンジャマン・ラヴェルネ)が白血病に倒れる。骨髄移植を妹に求めた結果血縁関係のないことが判明し、調べていくと両親とも同じ弟ジミー(ピエール・ロッタン)に行き着く。二人とも別の家の養子になったのだ。
上流階級の家に育ったティボに対して、下層階級に育ち現在も生活に苦労しているジミーは反感を覚えるもそこは兄弟、骨髄移植に応ずる。音楽好き故に気の合うところも多い兄弟で、ティボは、ジミーが所属する鉱山音楽隊が難局にぶつかっているのを見て、弟に指揮の仕方などを伝授していく。
骨髄移植の “成功” から後は、ジミーやその所属する階級とりわけ別れた細君の工場閉鎖に絡む騒動といった苦闘が彼らの音楽活動の背景として揺曳するようになる。主旋律からジョンからポールに移った感があるところである。
しかるに映画はここで変化球を投げる。骨髄移植は成功していなかったと判明するのである。
そんな状況の下ティボが苦痛の中で完成させた自作曲を指揮し終えると、突然スティックによる「ボレロ」が二階席から聞こえ、やがてアカペラによる合唱が始まり、これにオーケストラの面々が各楽器を弾き始める。かの曲に匹敵するような素晴らしいハーモニーに感動を禁じ得ないことになる。
途中から一時英国映画界が大量に作った復興実話もののようになっていくと思わせておいて、最後はティボに戻り、しかり、それにジミー側が深く絡むという構成に少々驚いた。
大衆的だが、通俗に少なくとも低俗には陥っていない内容に拍手を送りたい。うるさ型でも余程ひねくれていない限り喜んで観ることができるのではないかという気がする。
英語の chorus には二つの意味があり、一つは日本人も使うコーラスだが、もう一つは日本語の【サビ】にほぼ相当する音楽用語だ。
この記事へのコメント
>余程ひねくれていない限り喜んで観ることができるのではないかという気がする。
時々少数派のひねくれ者になってしまう私ですが、楽しく観ました。
弟役の役者が好きなタイプかも ^^
>時々少数派のひねくれ者になってしまう私ですが、楽しく観ました。
ひねくれた方が格好良い場合とださい場合がありますね^^