"映画"の記事一覧

映画評「熊は、いない」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年イラン映画 監督ジャファル・パナヒ ネタバレあり イランの映画監督ジャファル・パナヒはメタフィクションの監督である。「人生タクシー」「ある女優の不在」のどちらもメタフィクションの傑作で、続く本作はもっと手が込んでいる。 しかし、監督がメタフィクションを作るのは、ドラマ映画作りをイ…
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映画評「蟻の王」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年イタリア映画 監督ジャンニ・アメリオ ネタバレあり 同性愛が精神病とされていた半世紀以上前にイタリアに実際にあった裁判を基にした実話ものの類である。 詩人で劇作家であるアルド・ブライバンディ(ルイジ・ロ・カーショ)が、詩や劇を研究する芸術サークルを創設し、そこには男女を問わず、若…
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映画評「サントメール ある被告」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2022年フランス映画 監督アリス・ディオップ ネタバレあり セネガル系フランス女性監督アリス・ディオップが作った長編劇映画第1作とのこと。 若い女性作家カイジ・カガメが、15か月の娘を殺した罪で訴えられたセネガル出身の女性グスラジ・マランダの審議の傍聴人となる。夫への怒りの余り息子二人を殺…
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映画評「ヌードの映画史~黎明期から現代へ~」

☆☆★(5点/10点満点中) 2020年アメリカ映画 監督ダニー・ウルフ ネタバレあり 映画鑑賞が趣味になってから暫くして、アメリカ映画にはヌードが出てこず、欧州映画や日本映画に見られる事実に気づいた。  僕が映画を観始めた1970年頃に出て来るアメリカ映画は1965年より前の映画が多く、従ってハリウッドの自主的な映画倫理規…
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映画評「ロスト・フライト」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年イギリス=アメリカ合作映画 監督ジャン=フランソワ・リシェ ネタバレあり 恐らく最初の紹介が変だったものだから、世間ではジェラルド・バトラーで定着したが、元の綴り Gerard を考えて、 僕はずっとジェラードと言っている。 配給会社が欧米にある Gerald と間違えて "l" のよう…
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映画評「ボーはおそれている」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年アメリカ=イギリス=フィンランド=カナダ合作映画 監督アリ・アスター ネタバレあり アリ・アスターは、M・ナイト・シャマランに似て、はったりの監督だろう。 邦題を見てうっかりエドガー・アラン・ポーが自作の主人公のように怖い体験をする映画かと思ったが、よく見るとポーではなくボー・ブリ…
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映画評「リュミエール!」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 2016年フランス映画 監督ティエリー・フレモー ネタバレあり 映画館で公開できるタイプの映画シネマトグラフを発明したオーギュストとルイのリュミエール兄弟の作品が108編も(全編50秒なのでノーカットで)観られる貴重な作品である。「映画はアリスから始まった」と共に保存版を作らねばなるまい。 …
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映画評「セルロイド・クローゼット」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1995年アメリカ=フランス=イギリス=ドイツ合作映画 監督ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン ネタバレあり 勘の良い人なら、この題名からある程度内容が予想できるかもしれない。  セルロイドはフィルム即ち映画、クローゼットはカミング・アウトしていない同性愛(者)のことである。従って、こ…
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映画評「カルロス:ザ・サンタナ・ジャーニー」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督ルディ・バルデス ネタバレあり 中学生だった1972年頃ラテン・ロック・バンドのサンタナの名を知ったが、意識して聞いた(意識したのだから “聴いた” が正しいのかもしれないが)のは1976年の「哀愁のヨーロッパ」が初めてではなかったかと思う。フリートウッド・マックをカヴ…
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画像問題:Who is she/he? No. 33

ええっ、今月は先月亡くなったこの大スターです。僕のご贔屓の男優でありながら(であるからこそ)追悼記事を敢えて書かなかったですが、一応画像問題として追悼することに致します。画像も開き直って、一番分かりやすいものを選びました。 最初の代表作か公開された1960年から1970年代半ばまで、おしなべて日本で一番人気があった男優であ…
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映画評「映画はアリスから始まった」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2018年アメリカ映画 監督パメラ・B・グリーン ネタバレあり 映画会社のゴーモンは知っているが、ゴーモンが本格的な映画会社になる前に、秘書だった女性アリス・ギイが、リュミエールが世界で初めて映画公開をした1895年12月の数か月後に映画を製作・監督していたのは全く知らなかった。不勉強のそしりは…
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映画評「枯れ葉」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2023年フィンランド=ドイツ合作映画 監督アキ・カウリスマキ ネタバレあり アキ・カウリスマキの新作。 などと僕は何気なく述べるが、実は彼は一旦引退宣言したそうで、シネフィルにはかなりの事件だったらしい。10年前ならこんな他人事(ひとごと)のような言い方はしなかっただろうが、最近はパッシ…
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映画評「VORTEX ヴォルテックス」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2021年フランス=ベルギー=モナコ合作映画 監督ギャスパー・ノエ ネタバレあり ギャスパー・ノエ監督の作品は、オムニバス映画「セブン・デイズ・イン・バナナ」の一挿話しか観ていないのでどんな監督かよく分らないが、本作はスタイルの映画である。真四角の画面を二つ並べて140分以上ずっと続くのである。…
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映画評「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」

☆☆★(5点/10点満点中) 2021年オーストリア=ドイツ合作映画 監督フィリップ・シュテルツェル 重要なネタバレあり 伝記小説の大家としてよく知られるオーストリアの文豪シュテファン・ツヴァイクの小説としての遺作「チェスの話」の映画化。邦題を見れば、ホロコーストものかと勘違いしそうになるが、この映画においては主人公がユダヤ人…
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映画評「ぼくは君たちを憎まないことにした」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2022年ドイツ=フランス=ベルギー合作映画 監督キリアン・リートホーフ ネタバレあり フランスで2015年11月に起きたフランス同時多発テロで被害に遭った女性の夫が発表したノンフィクションを原作とする実話ものである。  僕は、フランスでのテロの後被害者の家族である男性がカメラに向かって“私は彼…
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映画評「旅するローマ教皇」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年イタリア映画 監督ジャンフランコ・ロージ ネタバレあり ジャンフランコ・ロージという監督は、所謂ドキュメンタリーではなく、実際には同じ意味にすぎない【記録映画】の作者という感じがする。彼の主観を、少なくとも彼自身の言葉として明示することはない。勿論、映像の取捨選択という形で “演出” …
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映画評「エリザベート1878」

☆☆★(5点/10点満点中) 2022年オーストリア=ルクセンブルク=ドイツ=フランス合作映画 監督マリー・クロイツァー ネタバレあり ロミー・シュナイダーが生涯に二度演じたオーストリア国皇后エリザベートの伝記的映画である或る程度長い年月の彼女の人生を知りたいのなら、ロミーが若い頃に出演したシシー(エリザベートの愛称)三部作を…
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映画評「ミステリと言う勿れ」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・松山博昭 ネタバレあり TVドラマ(特にシリアルもの)は一切見ないが、本作のTVオリジナルは題名だけ知っていた。  そのタイトルは内容ではなく作者(原作者の漫画家・田村由美はミステリーなど書けないと述べているらしい)に関する情報となっている。映画ではフェデリコ・フェリー…
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映画評「シック・オブ・マイセルフ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2022年ノルウェー=デンマーク=スウェーデン=フランス合作映画 監督クリストファー・ボルグリ ネタバレあり アイデア自体が秀逸で演出が極めて優れていた傑作に僕の愛する「激突!」(1972年)がある。本作は「激突!」のレベルには程遠いが、着想がなかなか面白い。 妙齢美人クリスティン・クヤト・…
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映画評「彩られし女性」

☆☆★(5点/10点満点中) 1934年アメリカ映画 監督リチャード・ボレスワフスキー ネタバレあり サマセット・モームをスター・システム時代のハリウッドはうまく映画化することができない。  尤も、それはモームに限らず、純文学は尽くメロドラマ化されてしまい、トルストイの「アンナ・カレーニナ」を Love という題名で映画化し…
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