映画評「零落」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・竹中直人 ネタバレあり 竹中直人が出演しないで監督だけに専念した純文学映画。原作は浅野いにおなる漫画家のコミックとの由。映画化されるコミックにもこんなしんねりむっつりした作品があるんだねえ。 7年続いた人気作を終えて目的を失っている落ち目の漫画家・斎藤工は、他の売れ…
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映画評「愛なのに」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2021年日本映画 監督・城定秀夫 ネタバレあり 「猫は逃げた」に続く今泉力哉監督、城定秀夫監督による共同脚本作第2弾。実際にはこちらが第1弾で、僕が観た順番で言っているだけ。  今回の主筆は今泉力哉で、メガフォンを取っている城定監督は少しいじっている程度だろう。城定監督はカメラをかなり(余り…
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映画評「銀平町シネマブルース」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・城定秀夫 ネタバレあり 城定秀夫シリーズ第5弾(脚本作含む)。 先日鑑賞した廣木隆一監督「月の満ち欠け」には実在の名画座・早稲田松竹が出て来たが、こちらには銀平スカラ座なる架空の名画座(撮影は川越スカラ座なので、モデルと考えらえる)が出て来る。脚本はいまおかしんじ。…
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映画評「猫は逃げた」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2022年日本映画 監督・今泉力哉 ネタバレあり 絶賛はしなかったものの密かに愛している映画に井口奈巳監督「犬猫」がある。人を動物に喩えることはままあるが、解る人だけに解るように喩えたところの絶妙ぶりに僕は膝を打った。惚れ惚れした。  何てことを言い出したのは、本作の猫が絡んで繰り広げられる面倒…
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映画評「放課後アングラーライフ」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・城定秀夫 ネタバレあり 城定秀夫監督特集第3弾。脚本・脚色作を含めればまだまだ続く。原作は井上かえるという若手作家のライト・ノベルらしい。内容から言って女性だろう。 東京(?)の学校で虐めに遭っていた女子高生・十味(とーみ)が、幸運にも、父親の転勤によって、西日本…
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映画評「女子高生に殺されたい」

☆☆★(5点/10点満点中) 2022年日本映画 監督・城定秀夫 ネタバレあり 先月WOWOWで初放映された時には、青春コミックを想起させる題名故に敬遠したが、今注目株らしい城定秀夫監督特集の中にあったので、観てみることにした。原作は、古屋兎丸という漫画家のコミック。 進学校と称する男女共学校に女子高生に持てそうな青年日…
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映画評「夜、鳥たちが啼く」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2022年日本映画 監督・城定秀夫 ネタバレあり 以前「アルプススタンドのはしの方」という面白い映画を見せてくれた城定秀夫監督の作品。あの作品は高校生たちの作った原作が面白いと言うべきなのだろうが、今月は一気に新作がWOWOWで観られるので、ちょっと監督の指向性でも調べて行きたい。 十代で注…
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映画評「月の満ち欠け」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2022年日本映画 監督・廣木隆一 ネタバレあり 「鳩の撃退法」を映画で観てメタフィクションとしてなかなか面白いと思った佐藤正午の同名小説を廣木隆一が映画化したファンタジー。 1980年ジョン・レノンが死んだ頃、会社員・小山内堅(大泉洋)が大学の後輩・梢(柴咲コウ)と結婚する。1981年に生…
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映画評「コンペティション」(2021年)

☆☆☆(6点/10点満点中) 2021年スペイン=アルゼンチン合作映画 監督ガストン・ドゥプラット、マリアーノ・コーン ネタバレあり 1980年にクラシック・コンクールを描いた同名邦題のアメリカ映画が作られたが、全く関係ない。こちらは、近年目立つスペインとアルゼンチン合作の、映画俳優同士の激しいライバル意識を描いた喜劇である。…
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映画評「秘密指令」

☆☆★(5点/10点満点中) 1949年アメリカ映画 監督アンソニー・マン ネタバレあり 1950年代以降アンソニー・マンがほぼ西部劇監督に専念する前の一種のフィルム・ノワール。一種のというのは、フランス革命後の恐怖政治をテーマにしているからである。「恐怖時代」という別邦題がある。 「紅はこべ」の続編のような感じだが、あ…
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映画評「ジェラール・フィリップ 最後の冬」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2022年フランス映画 監督パトリック・ジュディ ネタバレあり 僕はジェラール・フィリップの作品は、あるいは全部観ているかもしれない。とにかく大好きな俳優である為、本作に対する星の数が多くなってしまったかもしれない。悪しからず。 構成がめちゃめちゃと言う意見がかなり多いものの、僕はその構成…
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映画評「人質 韓国トップスター誘拐事件」

☆☆★(5点/10点満点中) 2021年韓国映画 監督ピル・カムソン ネタバレあり インド映画や韓国映画を洗練されていないとして世間ほど評価していない僕は、韓国の俳優の名前を十人知っているかどうかに過ぎない。 本作のキモは、ファン・ジョンミンという人気俳優(人気俳優と言いながら “という” を使うところがレトリック)が本…
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映画評「窓辺にて」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年日本映画 監督・今泉力哉 ネタバレあり 韓国のホン・サンス同様、今泉力哉もエリック・ロメールに似ている。ホンは確か自らそれを認めていた記憶があるが、かつて今泉はロメールの映画は観たことがない(なかった)と言っている。  彼らの映画では、一つの画面で二人(たまに三人、それ以上は滅多にな…
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映画評「ヴィナスの接吻」

☆☆★(5点/10点満点中) 1948年アメリカ映画 監督ウィリアム・A・サイター ネタバレあり どこかで観たことがあるなあと考えていたら、1987年の「マネキン」の元ネタでした。 デパートの経営者トム・コンウェイが、お披露目したいヴィーナス像を見せる際に使うカーテンが不調なので、社員ロバート・ウォーカーに修理を依頼する…
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映画評「RRR」

☆☆★(5点/10点満点中) 2022年インド映画 監督S・S・ラージャマウリ ネタバレあり 昨年踊りと歌が大いに話題になったインド映画。 舞台は、1920年頃の英国植民地時代のインド。  絶対的な権力を持つインド総督バクストン夫婦(レイ・スティーヴンスン、アリスン・ドゥーディ)に妹マッリを奪われた森林部族の青年ビーム…
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映画評「ル・ミリオン」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1931年フランス映画 監督ルネ・クレール ネタバレあり 四十余年前、京橋のフィルムセンターで観た。  「巴里の屋根の下」「巴里祭」「自由を我等に」ほど有名ではないかもしれないが、傑作と思う。実際 IMDb では☆☆☆☆☆を進呈した。さすがに調子に乗り過ぎたという感がなきにしもあらずので、こ…
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映画評「スペードの女王」(1949年)

☆☆★(5点/10点満点中) 1949年イギリス映画 監督ソロルド・ディキンスン ネタバレあり 若くして決闘で死んだアレクサンドル・プーシキンはご贔屓の作家だ。特に好きなのは「エフゲニー・オネーギン」。怪奇小説「スペードの女王」はごく短いので2度読んでいるが、そこまで愛好してはいない。 ナポレオンに憧れる野心的な工兵ゲル…
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画像問題:Who is she/he? No. 22

50歳の時に出演し、19年後にリメイクもされた、あの話題作で一般にもかなり知られるようになった女優さん。 かの作品は俳優でもある夫君の珍しくも娯楽性の高い監督作で、それ以前にも夫君の映画に幾つか出演していますが、インディでマニア向けの作風の為に一般ファンには殆ど見られることがありませんでしたね。僕の大学時代にも自主上映や映…
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映画評「ファイナル・カウントダウン」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1980年アメリカ映画 監督ドン・テイラー ネタバレあり 1979年日本に「戦国自衛隊」が生れたのに呼応するかのように翌年作られたタイム・スリップ戦争映画である。40年ぶりくらいの再鑑賞。 1979年、カーク・ダグラスを艦長とする空母ニミッツが嵐に遭遇する。それを堪(こら)えたと思うが、周囲…
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映画評「夢野久作の少女地獄」

☆☆(4点/10点満点中) 1977年日本映画 監督・小沼勝 ネタバレあり 日本で三代奇書と言われる「ドグラ・マグラ」を書いた夢野久作の「少女地獄」の後半 “火星の女” を小沼勝監督が映画化した怪作。広い意味でホラーであるが、恐怖劇というよりは怪奇劇と言うべし。 キリスト教系お嬢様学校が舞台。  森栖校長(桑山正一)は…
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