映画評「カビリア」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1914年イタリア映画 監督ジョヴァンニ・パストローネ ネタバレあり 20年程前にある人が“私は(いかに名作と言われようと)世評を考慮せずに映画を観て評価する”と言った。それは当然のことである一方、映画(音楽も同じ)の進歩を全く考慮せずに昔の名作群を評価すると不当な低評価になりかねず、やはりあ…
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映画評「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2019年カナダ=アメリカ合作映画 監督ダニエル・ロアー ネタバレあり 大学生になりたての頃初めて買ったザ・バンドのアルバムは、『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』(1968年)である。  音楽好きの間で評判が良かったからだが、ビートルズとほぼ同世代の平均年齢26歳の若者たちがやっている音…
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映画評「映画版 変な家」

☆☆(4点/10点満点中) 2024年日本映画 監督・石川淳一 ネタバレあり このタイトルの書籍が新聞の書籍売れ行きランキングで上位に入っていたのには気付いていたが、他のメディアに関しては全く知らない。映画作者は、この映画版は小説から続くものである旨述べている。 個人的な話をすると、最初の家の間取りを見て、子供部屋が真ん…
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一年遅れのベスト10~2024年私的ベスト10発表~

 群馬の山奥に住み、持病もあり、WOWOWを中心にした映画鑑賞生活ですので、僕の2024年私的ベスト10は皆様の2023年にほぼ相当する計算でございます。  スタンスとして初鑑賞なら新旧問わず何でも入れることにしていますが、昨年☆☆☆☆(8点/10点満点中)以上を進呈した作品は34本(2023年は24本)で、そのうちドキュメンタリ…
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映画評「ライド・オン」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年香港=中国合作映画 監督ラリー・ヤン ネタバレあり 近年のジャッキー・チェン主演作は愚作が多くてがっかりの連続だったが、これは欠点はあるものの、そう悪くない。 友人の借金のカタとして愛馬チートゥを奪われそうになっている元スタントマンのチェンが、妻と離婚して幼い時に別れ疎遠となってい…
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映画評「犯罪都市 PUNISHMENT」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2024年韓国映画 監督ホ・ミョンヒョン ネタバレあり シリーズ第4弾。 フィリピンで監禁されて働かされていたIT関係者が刺殺される。チャン・ドンチョル(イ・ドンフィ)をCEOとするIT企業が営むオンライン・カジノ【皇帝カジノ】のリーダーを務める武闘派パク・チャンギ(キム・ムヨル)が犯人であ…
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映画評「犯罪都市 NO WAY OUT」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年韓国映画 監督イ・サンヨン ネタバレあり 個人的に第2作を先に観て主人公の無類の強さを愉快がり、第1作も観たという経緯を持つ。人気の韓国製刑事映画の第3弾である。  監督は第2作に続いてイ・サンヨン。アクションを見せる時に時々コマ落としがあるのが気になるが、描写にパンチはある。 …
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映画評「ゴジラ×コング 新たなる帝国」

☆☆★(5点/10点満点中) 2024年アメリカ=オーストラリア合作映画 監督アダム・ウィンガード ネタバレあり 第一作(モンスター・ヴァース第4作)よりお話の構成がシンプルでぐっと直線的なのは志としては良い。 ゴジラが地上で怪物たちを退治する王者として君臨、コングは故郷である髑髏島の地下洞で暮らし始める。  そんなあ…
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映画評「シビル・ウォー アメリカ最後の日」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2024年イギリス=アメリカ=フィンランド合作映画 監督アレックス・ガーランド ネタバレあり アメリカの未来を憂えるリベラル派の立場で作られた寓話劇にしてロード・ムービー風サスペンスだ。寓話劇であることをきちんと理解すれば【Yahoo!映画】のような低い平均評価が出てくるわけがない。 現在…
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映画評「BAD LANDS バッド・ランズ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・原田眞人 ネタバレあり 原田眞人の作品と聞けば観ないわけには行かない。ミステリー作家黒川博行の小説「勁草」の映画化。現実を参考にするミステリーが日本で増えていることを示す作品の一つだ。 特殊詐欺で三塁コーチと言われ受け子の指示役をしている安藤サクラは、相手の老女が警…
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映画評「オッペンハイマー」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2023年アメリカ=イギリス合作映画 監督クリストファー・ノーラン ネタバレあり 広島と長崎への原爆投下に結び付く原爆開発計画マンハッタン計画の指導者となったJ・ロバート・オッペンハイマーの伝記的映画だが、クリストファー・ノーランが映画化した以上、並大抵の伝記になっていないはず、と映画ファンなら…
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画像問題:Who is she/he? No. 37

今年は巳年なので、映画評の第1弾は「蛇の道」、画像問題第1弾はこの男優。と言ってもピンと来る方は少ないでしょうかね。 1960年代末に発表されたあの名作が断トツの代表作で、映画ファンがこの方を語る時100%近い確率でその題名を上げると思います。共演したかの名優より30cm近く高い身長も印象に残りますね。  その流れで売れ…
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映画評「蛇の道」(2024年版)

☆☆★(5点/10点満点中) 2024年フランス=日本合作映画 監督・黒沢清 重要なネタバレあり。ご注意ください。 黒沢清は、形而上学的ホラーを棄ててしまったのか。極めて難解だが読み解く面白さに横溢していた1998年版をフランスでリメイクしたこの復讐サスペンスを見てそう感じざるを得ない。  大衆的な観点ではぐっと解りやすいが…
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映画評「蜘蛛の瞳」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1998年日本映画 監督・黒沢清 ネタバレあり 鈴木清順監督は殺し屋が殺し合う「殺しの烙印」(1967年)という作品を作った。鈴木監督が日活を放逐される原因となった作品で、僕は常識的な映画文法を無視したカット割りを楽しんだ。他の人はさておき、映画文法というのはカット割りについて言う。お話の起承転結…
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映画評「蛇の道」(1998年版)

☆☆★(5点/10点満点中) 1998年日本映画 監督・黒沢清 ネタバレあり 黒沢清は、一貫して形而上学的ホラーを作っている。だから解らないところが多い。この映画の☆★を掲記に留めたのは理解が正しいか必ずしも自信が持てないからで、実に興味深い映画である。 8歳の娘を殺された香川照之が、何らかの塾を経営している哀川翔の協力…
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古典ときどき現代文学:読書録2024年冬号

 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。  季刊になって初めての冬号。三カ月に一遍ですので、あっという間に発表の時がやって来ます。季刊ペースの欠点は、哲学書の大著や今回も分冊を一巻読んだ野間宏の「青年の環」(文庫本にすると4000ページを超えるだろう)のような大長編など、余り長いものを続けて読めないこと…
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映画評「目撃」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1997年アメリカ映画 監督クリント・イーストウッド ネタバレあり 本年最後の記事は、再鑑賞作品となりました。  クリント・イーストウッドの主演もしくは監督作品は殆ど全てハイビジョンで持っているが、これは持っていなかった。文句ばかり言っているNHKに一応感謝しておきます。 イーストウッド…
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映画評「恋するプリテンダー」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年アメリカ=オーストラリア合作映画 監督ウィル・グラック ネタバレあり ウィリアム・シェイクスピアの喜劇の中でも設定が割合好みの「から騒ぎ」をベースに現代化を図った恋愛コメディーである。主人公たちやその周辺の名前はほぼ踏襲されている。 ロースクールで鋭意勉強中の妙齢美人ビーことベアト…
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映画評「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督アレクサンダー・ペイン ネタバレあり アレクサンダー・ペインは巧打者で、毎回2塁打か3塁打を打つ。彼のようなウェル・メイドの作品には本塁打とは言うのが憚れるところがある。邦画では余りお目にかかれない全寮制の学校を舞台にしたコメディー。 1970年。全寮制のバート…
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映画評「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督マイケル・ジェイコブズ ネタバレあり また日本人の悪い癖が出てテンプレート的な邦題がつけられた。「アバウト・タイム」をもじり、観客の好きそうな「幸せの~」と来た。どちらかと言うと僕は邦題を付けた配給会社ではなく、つけさせる観客に問題があると思っている。日本人は題名に内容…
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